A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

阿部式電氣時計

約100年ぶり(?)かの親戚宅へいらっしゃいませ。

また子時計を迎え入れた訳である。

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売り手の話では、学校か病院かにあったのかなと。時報機があれば、サイレンを鳴らす必要がある場所と言えるから病院というイメージはないが、かなり綺麗だから、禁煙の場所に置かれていた様な雰囲気はある。

まぁまぁ昔の病室はモクを吸っていても良かったが、各病室に置くかなぁ。

看護師詰所、治療室、手術室、受付、多分そんな感じの場所にあったとすれば、状態は良さそうな気はする。

電氣関係の会社、工場でも入れている所は入れていたから、特定は難しいけれど、導入するにも今も値段は高価であるし、昔ともなれば桁違いに高価な物だったに違いない訳で、建物と言い、モダンで当時の贅沢な造りをしていたのではないかなと想像。

日本は何でもすぐ壊したがるから残らないし、残し方も側だけ嘘っぽく直して残すから、なんとも言い難い。

本来のボロくなった味を楽しむという欧州的な感覚は希薄な様に思う。

まぁまぁ、そうは言っても欧州でも、急に合理的になるから、古臭い様で、全く最新の内装だったりというギャップも感じた事がある。

まぁ、古い建物は使い勝手が悪いのは当たり前なのだけども…

考え方の違いか…難しい所。

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これらの時計の問題点として、ペイント文字盤の剥れ。

数台あるが、どれもパリパリとして、ヒビ割れ、カールが始まっている。

要は、半世紀を超えて、ペンキは持たないという事なのかも知れない。現代のペンキはそう言う面を考えて長持ちする様に出来ているのかも改良しているかも知れないが。

文字盤自体には直接的に触る事はない設計であるから、ノッペラボウになる事は多分無いが、今回はのは極めて危険な状態。

生憎、崩れが大きくなってしまった感があるが、致し方ない。
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機械を見る前に、時間合わせ用の専用端子に繋いで動かしてみると、問題なく動作していた。

しかし、端子へ繋いでも動かなかったから、相当長く寝ていたかも知れない。通常動作はしない。

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端子から線が折れていたから動かない。物理的。

それにじても機械が壊れる要素がないっていうのもまた凄い設計だ。

内部は新品同様を保っていて、凄まじく綺麗。

確かに病院にあったのかも。油虫が入った感じもないし、蜘蛛の巣も、虫食いも無い。

消毒のクレゾールが染み入ってるかと思ったけれど、そんなニオイはなくて、甘い香りで、蓄音器と同じ良い香りがした。

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今回の機械は特許の刻印があった。

デザイン、金型はどれも同じであるが、より古いかも知れない。

ABEの刻印有りはある。

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構造、デザインは電話機のベルと同じ。

1分間に1度、短いパルス信号を送って励磁して運針させる。

単純だが正確である。

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ペイント修復。

色塗りはしたくないから、どうにかオリジナルを維持させたい…


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あまりにも状態が凄いから、和紙を上から補強させるか考えたが、1つ1つ捲れを直しながらニスで風化した表面を戻す事にした。

欠けた部分は、散って落ちた部分から拾ってパズルにするか検討。

 

がしかし。

ピンセットで掴むにも割れてしまって掴めないから、致し方ない。

やりたくはないが、あまりにも欠けが多いから、かけた部分だけ補修。タッチアップする。

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色合わせ。

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難しい事に、全体が均一な色に焼けていないから、何処も同じ色を入れると、差が出る。

僅かの事だが、気になる。

修正し色合わせをしながら、仕上がりの時の度合いとを考えながら色入れ。

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まぁまぁかな。
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元は白のペンキ。

黄色いクリーム色に時間が経つとなる。
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機械の手入れをして組み戻す。
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遠目から見たら、パリパリ感は気にならない。

あとはケースを磨いてやって。

傷は味として其の儘に。

https://twitter.com/a2laboratoire/status/1698688320749068602s=46&t=IQWHZdkGWxPAdgW4NfEFgA

試運転。