A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

DV-8250

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ダイナベクターのコントロールに続いてパワーアンプが来た。

この機体は本当に重い。3、40kgありそうな気配がする。

暫し思い返すと、DOK(デンオン)のモノーラル807ppは、1台40kgありそうな重さだった記憶がある。

タンノイの上へ乗せるのにかなり苦労した覚え。

それと同じ様な印象。

階段を上げるのにも一苦労。

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GECのKT88が挿さっていたが、他がホコリになっているのに、この球だけが綺麗だった。

その事から、売り払う前に寝ぼけた不良に交換されてしまっているのではないかと疑って、試験をしたが、エミッションは良好だった。

然し乍ら、横のゲッタは茶色に変色していて、かなり無理な動作環境だった可能性が考えられる。

焼いて使う様な状態だった可能性。
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中から、この機体で使っていないコネクタを残骸が出て来た。

修理屋で混入したもの?それとも、修理出来るオーナーが持っていたのかな?

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基板はユニットで外せるから、これをまずは外して持って上がる。
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ppのトランスだから、普通のppかな?

sgの端子を使っていないから三結?

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メーカー製でも端子はハンダの跡に、ケーブル迄付いていて、切ってある。

誰かが追加した?

この銘板も外し方が綺麗でないし、何とも言えない雰囲気。

要は、アマチュア製みたいだと言いたい。


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おまけに鉄シャーシはバリが返った儘で、かなり鋭利。

高級機はこんなもので良いのか疑問。高級機でもないのかな…?

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ケミカルを再電荷付する。

工場でも電荷をつけて容量を出す。

これは使っていても抜けるし、使わなくても元へ戻る。

電解コンデンサは、化学反応で大きな容量を得ている素子であるから、電荷付出来なければ不良である。

容量が抜けても不良であるが、これは電解液が乾く事で起きる不良。

昔は電解液を売っていたらしいが、私はその様なボトルも品物も見た事がない。使い古しとか古新品とかも。

実際に存在していたのか不明であるが、電解液は劇薬でない説がある。

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基板を見ると焦げた跡があるが、抵抗は既に交換済みである。

カップリングが不良で電流が多量に流れた可能性?

だとすると、この抵抗はカソードらしいぞ。

しかし51Ωとはまた小さ過ぎる…と思ったが、-Cがあれば、測定用かクッションに入れているだけの可能性も考えられる。

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オイルは絶縁は程々落ちているが、微妙である。

昔だったら使っているであろうが、安全性と寿命をとる事にする。交換する。
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315wvのケミカルは漏れている。

微妙な数値だから、メーカーが作らせたか、そのバルクを買ったのだと思う。

これも漏れが酷くて再生不可。

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裏に12AX7と12BH7が来るからなのか、熱くなる為に寿命が短いか?

電源基板の大きいケミカルは再生できた。

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それで、回路を追うと、どうやらSRPPである。

技術書に似たのを見つけたが、コンデンサが本機は多いしビームである。

並列給電型SRPPというらしい。

ザックリと見ると、上段はカソードフォロアで、下段がプレートフォロアにOPTが挟まっている。

技術書ではB-Pが逆さで入っているのは位相を合わせるためである。本機では1段多いから、P-Bで都合が良い。

SRPPというと、上下が完全に繋がった物の印象があったが、これは並列にシングルを並べたのと同じ様に見受けられる。

 

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重い筐体を部屋へ運び込んで、壊れたS.P端子を交換する。
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サトウ部品の同じのが無くて、代わりにランシングと同じ押しボタンの端子へ交換した。

楽である。
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本体の左右に基板があって、問題が起きた時の可能性を考えて、片側づつ組み戻して通電試験をする。

初っ端からドン入れすると、調整トリマを回されていた時の事を考えて、危険が伴う可能性があるから様子見しながら。

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だいぶ疲れた顔をしているが、30-40mAで安定していた。

信号を入れると、上下で浅くなる方、深くなる方と、面白いバランスをする動作らしい。

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350vのタップを使っているが、片chの遊びがあるがあるから、100vを給電するとEbb490迄上がった。

wv500のコンデンサにはギリである。

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メーターも動いている。

OK。
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もう片chをひっくり返して組み立てる。
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徐々に通電してすぐに、臭くなった。

ああ、やはりな。これが怖かったからドン入れしなかったのである。

プレートが赤熱している。
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調べると片方が50mA暫し、赤熱したのが270mA程行ってた。そりゃ赤熱するわ。

完全にトリマを回されている。

半回転していて、-のどちらか回していて分からなくなったのだと思う。

深い方へ半回転だとカットオフに近くなるし、回せなくなるから、浅い方へ回したのだと思う。

既にゲッタがこれだから、長い期間、過多で使っていたのだと思う。

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程々に調整。これで良い。
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メーターが動いたり動かなかったりしている。
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切り替えスイッチを疑い処置したが、まだ動きが異様である。

ppmユニットの周囲を再度調べてCR交換。
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こちらのadjも触っているのか、ワッテージ表示が変である。

対数圧縮されてワイドレンジではあるが、感度はイマイチ。

インピーダンス切り替えもあるが、実質的なW表示では無さそうに思う。

というのも、インピーダンスが変わればワット数が変わるはずだが、これは一律である。

凝ってはいるが、オモチャに近い印象がある。
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仕上げて試運転する。