A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

ATO タイムグラファで確認

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+20秒から少しづつ遅れ方向へ調整してもあまり変化が無いから、タイムグラファで確認したが、先日のATLASの標準時計同様に打点はバラバラ。

+へ行ったり-へ行ったり荒ぶっている。

今から大凡100年前にしては、1日数十秒程の誤差で済むのは高精度だったのかも知れないが。

そもそもタイムグラファなんて無かっただろうし、どうやって基準を定めていたのだか?

 

 

 

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水道工事で振動がありつつやっていたが、それが影響しているかも知れない可能性を考えて、次の日の昼間に確認。
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やはりバラツキあり。
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少しづつプラスへ回したり、マイナスへ回したり、数時間向き合っていたら、どうやら規則的に3つの打点が出せる事が分かった。

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下から順に1、2、3、1、2、3、と打点し、右肩上がりになるから、進み方向へ流れているのかと思うが、測定値はマイナス。

マイナスの方向に一周して上へ打点されているのだろうか。

これ以上にマイナスへ倒すと、タイムグラファは認識しなくなるから、外れ過ぎになるのだと考えられる。

かと言ってプラスへ調整するとこれがまた面白いもので、バラバラになってしまうが、認識はする。

 

規則性がある3つの線が出来るのは、磁気的に振り子を引き込むトルクの影響が強い(?)

それとも、振り子というのは案外規則正しくない(?)

はたまた、機械の歯車のクリックが3つに割れる様な、規則正しくない精度だから現る打点(?)

分からないが、クセがあって非常に面白い。

構造的には1往復に1度回路が働き、振り子を吸い寄せるから、半サイクルは勢いだけで動く事になるから、これは停止の方向へ向かわせる。

またその半サイクルで瞬間的にコイルに電流が流れて、振り子を吸い上げ、これが動力源になる。

吸い付ける力が強ければ、振り子の加速度は高くなる事と推測。

オーバーに吸い寄せてしまうと、精度に影響が出る。

歯車を押し出す為に振り子はかなり重量がある様に作ってあるのかと思っていたが、この勢いに振り子が電気的に引っ張られて、制動力を高めない動作をさせる為の重みかも知れない。

 

そうそう、ナショナルのトランジスタ時計という物の正体を知りたく、半壊にされた物を、安くも無い値段で買ってみた。

一般人からすれば、完全なる廃品、ゴミにしか見えない有様。時計としては用を果たさない。

どうせなら、欠品の無いマトモな物を買っても値段的には変わらなかった様な気がするが、後の祭り。

構造はこの方式に類似。

片側に付けたコイルで振り子に付けた磁石を引き寄せ、動力源とする。

しかしながら、トランジスタ式はコイルの巻き方が、昔の有接点方式の機械式とは異なり、2セクションで巻いてある。

従って、コイルボビンからは、4本の線が出ているのである。

振り子より、手間に巻かれたコイル(検知用)は、振り子がコイルより遠ざかる時に発生するバイアス、つまりマイナスの信号をトランジスタに伝えて、カットオフ動作にする。

カットオフされるのは、振り子より奥のコイル(持続用)である。これが吸い寄せコイルである。

往復し、向かって来た振り子は検知コイルに近づく。

出て行くのとは違い、今度は入ってくるから、発生する信号はプラスである。

プラスのバイアスがトランジスタのベースへ印加された時、エミッタからクレクタへ電流が流れる。これが持続用コイルへ伝わる訳である。

振り子が最大の振り幅へ達した時、折り返しの為に静止する。

この時の検知用バイアスは0になる。

従って、持続用吸引コイルも動作を止める。

トランジスタ式の優れている点は、終始正弦波である事。

非常にスムーズ且つ、振り子の動きに対して正確な位置判定になる。傾きに対しても吸い寄せは振り子の動きに同期しているから、タイミングのズレは生じない。

但し、時計の送りが出来ない状態でも、振り子だけが動き続けているという、奇妙な現象が起きてしまう。電池の残量が減っても、その症状が現れる。

従って、電圧が高い時には、振り幅は大きく、電圧が下がるに連れて、振り幅は減少する。

これは精度に影響を与える事であろう。

割と軽い振り子が採用されているが、これは吸引の力配分を考えてあるのかも知れない。

 

有接点方式では、瞬間にスイッチをショートさせる為に、それは矩形波である。

振り子を指で、僅かトンと押すのと同じ様に、ある意味で衝撃が加わる。その影響を少なくする為に重い振り子が採用されているのではないかと想像。

位置によって接触タイミングが変化するから吸い寄せ位置も吸い寄せタイミングも同時に変化してしまう。

あまりにズレた角度では持続せず止まってしまう。

これの研究はまた別項で触れる事にする。

 

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プラスに倒していくと、右肩上がりに大凡綺麗に揃い出す。

初っ端の+20秒は、あながち外れてはいなかった模様。
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少しマイナスへ倒すと打点はバラツキが大きくなるが、もしかすると、打点の倍率が非常に拡大されているのかも知れない。

大きく外れた分だけ、引きで捉えているのかも知れないと思ったからである。

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そもそも、このタイムグラファの精度は如何なものなのだろう。

そう思って、水晶時計を貸してもらって測定。

Omegaの様に綺麗な点線が出るのかと思ったが、案外パラパラしているが、1日±10秒程々。

ビートが1振動だから、高速のものよりか、差は大きくはなっても不思議ではないのかも知れないが、こんなモノなのか。

ふぅーん。なるほど。また一つ勉強になった。

やはり時代の進歩通り、昔の物よりか、精度は近代に行く程高い様だ…

が、Omegaの1960年代(?)のはこれよりも精度が良さそうだなぁ…

新しけりゃ良いっていう事でも無いのだろうなぁ…って、もう矛盾しとる…(^ω^;;)

難しい。