順調に動いていたATLASの標準時計だったが、毎度の時間調整の為か竿とマグネットを止めるダブルナットが緩んで、マグネットがフラフラになってしまった。
でもって、ふとした時に見ると運針が止まっていて、動き続けなくなってしまう。
竿は調整し直し、ネジロックを少し多くしておいた。
調整時に回すのに結構力が必要だから、持って行かれるらしい。
運針が稀に止まる現象は、スイッチング機構に何らかの問題があるとみて再検査。
銀接点に接点復活剤を塗布して、磨いて拭いて仕上げると接点自体が緩々な事に気付いた。
両方あるのは、片方の接触が多少悪くても、保証の為の接触子であろう。もしくは接触抵抗を2つにして小さくする目的。
追カシメをしようとしたら、銀接点が破断してしまった。
真鍮は鋼にしっかりカシまっている。
銀無垢ではないと思うが、かなり柔らかい。
かなり小さい部品であるし、柔いのは当たり前かも知れないが。
形を戻してハンダで止めた。
ヤニが残ると腐る原因になるから洗って完成。
接触子の調整。
クリアランスが大きいと引き込み時間が短くなり、振り幅を持続できない。
近過ぎても、引き込みが強過ぎて上手く無い。
0.5mm程々で良い。
スイッチはパタパタとやっている時に若干の擦れを生じているから、接触面の掃除になっているはずであるが、黒い酸化面が蓄積すると掃除しきれない様である。
試運転。
内部構造は上記である。
フランス製の恐らく大元と思われるATOも同じ構造をしている。
後期の光星舎の物にはスイッチの間にコンデンサCが入っていて、引き込み時間を長くしているのではないかと推測。
コイルの巻き数が少ないのかも知れないし、導通時間を極限に減らして、電池の消耗を配慮した可能性も考えられる。
Cがショートされ電荷が無くなり、次にスイッチが断になった時に充電に働き、更に引き込みを充電分続ける事になるから、振り子は大きく振れる。
試しに外してみたりもしたが、動き続けなくなるという結果がある。
また容量も大きくし過ぎると自己停止を起こし、やはり止まる。良い塩梅がある。
NHKに納められた光星舎の物は、引き込みコイルと90°の位置に電磁微調整用のコイルが巻いてある。
電磁式以外は、固定のマグネットが仕組んである。