A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

RCA MI-38104A 続編

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漏れたカップリングを交換してやると、バイアスが狂わない為か、増幅率が増して、ガンとアタックの強い音が出る様になった。

4個のスピーカーを同時に駆動させてもモヂらず、ガンガン鳴る。

下手なパワーアンプよりも遥かに良い質で、不思議とハムもノイズが無くて羨ましい限りで、作り手としては非常に悔しくなる。

それだけ、考えられた設計なのだと思われ、雑な作りの様で、これでも十分に機能に支障が無い様に完成しているのだろう。

国産の民生機とは質が違うのは言うまでもないが、民生機はハムもやや残っていて、ノイズも多い。

業務用となると、ホーン型を使った場合は音圧が桁違いにあるから、民生機程度ではS/Nが悪くて使い物にならないであろう。

そういう事を鑑みて作ってある事は言うまでも無い。

絶縁不良のカップリングは、筒が琺瑯らしく、片面は樹脂で、もう一方はコンパウンドで封がしてある。こちらが巻き始めと思われる。

流石良い作りである。

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RCAだから、定めしRCA繋ぎをした電源であろうと思って、回路を追うと、やはりRCA繋ぎがやってあった。

左の薄べったい抵抗がB+のリーク用で、右の緑の薄い琺瑯抵抗がカソード側のである。

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B+の安定を図る為に、抵抗を使ってカソードへ結び、カソードとヒーターのCTへ繋いでバイアスを印加する。

カソードバイアスの抵抗には、B+のドロップ分とカソード側との電流が入る。

この部分が、1つ、2つ上のランクのアンプになると、定電圧放電管を使った物へ変わる。

この繋ぎ方をすると、終段が変動しても、バイアスはB+からのドロップ分がある為、丁度C電源を使った時の様に安定に保持される。

シーソーの様に動作する。

しかしながら、6SL7はp-kで繋がっているだけであるから、AB1の範囲でしか動作は出来ない。

それでもAB1のフルスイングさせるだけのパワーは引き出せる繋ぎ方である。

勝手にRCA繋ぎと書いたが、定電圧放電管をBにシリースに入れたらアルテック型と言われているから、これはRCA型としても良いと思う。

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都合良いネジを探したら、とりあえず止まったからボンネットを掛けて、見ていたら、凹みが気になり出して。

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板金屋兼配線組み立て兼事務員を工場(会社)でやっていた時代があるから、こういう凹み系は気になる。修正。

今思うと、3人分くらいの仕事を一挙にやっていた。手取り給料は15万。1年で確か昇給は500円だった記憶。昭和の話じゃ無い。平成の話である(爆)

よく板金部門の職人から、給料倍額貰えよ。と言われていたのが懐かしい(笑)

今思うと貰いは少なかったが、板金加工、電気/ガス溶接、旋盤、フライス、タレパン、NC、研磨機、磁気抜き、ありとあらゆる部門で一通りやって来たから、その経験値の価値は値段には変えられないはずで、とりあえず自分はそれで満足。

給料が良くても、ドリル1本、ハサミも研げない様な人材が今は残っている様だ。

まぁ何でもダメになったら新しい物を買えば良いやな。金持ち会社は(笑)

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仕上がり...

あれあれ、仕上がっちゃった(^ω^;;)

本当は壊して新しく組んでも良いかなと思っていたけれども、あまりにも具合が良くて、直してしまった(笑)

じゃあ16mmトーキーに今度使ってみますかね。

それとも欲しい人いますか?と訊いてみる(笑)

 

 

 

ps:気になって特性を見てみた。

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無入力時のハムレベルは-35dB程だった。

両波整流であるが、50c/sが立ち上がっているから、ヒーターから来るハムかな。

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トーンコントロール両方Maxの位置。

時代的に考えてもHiFiよりも前のWide-Rangeの頃だから、高域特性はあまり良くないが、出ていても私には聞こえないから、これでも十分(笑)

夕時は疲れるのか、耳鳴りが強く聞こえが悪くなるから余計に聞こえない。

少し高域に行くにつれて、上がり気味の特性は、定めし高域を上げて特性を伸ばそうとした結果と思われ。

昔のトランスは高域にピークを持って来てHiFi感がある様にした物がある。

これはまだ良い方と思う。凄いのは本当に立ち上がっている。

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低域其の儘、高域Cut位置
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両方Cut位置

あまり山にならないが、低域は引っ込んだ感が感じられる。

ボーカルは良い感じに屋外で聞いている様な雰囲気になる。

ある程度の音量(爆音)を出すと、これの方がフラットに聞こえる。

ライブは本当だったら、ローとハイをカットした山になった音の方が良いが、最近のPAさんは難聴なのか、分かっていないのか、フラットで爆音で鳴らすから、ドンシャリしていて耳が痛くなる。

耳栓するとローは落ちないが、ハイカットになって具合良い。まだ聞ける。

はしゃぎたいだけのコンサートであれば良いだろうが、音楽を聞きたいならば、耳栓必須。

ローもある程度カット出来れば最適だが、体に伝って低域は回り込んで聞こえてしまうから、どうにも難しい。