A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

RCA MI-38104A

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前々から寝かしていたRCAPAセットがあり、諸事情で場所を移動させた方が良い雰囲気になったから、持ち場に運んだ。
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大元の出所は米軍駐屯地の払い下げで、それを一時は学校放送用に使っていた時代があり、それも払い下げられた、所謂骨董品。

ぱっと見、分解して回路を触った形跡が強く、ケースのネジが揃っていない、いや、殆ど無いに近いという廃棄物感が漂う。

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終段は7027であるが、抜かれていて無くて、6BG6を代わりに使える様にしようかと思って挿した。

しかし、データシートを見たら随分ピンアサインが異なっていて、1箇所程度と甘く考えていただけに、それは止めにしてタワーアンプから6L6を拝借して来て試すことにした。
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30年以上(?)は、前オーナーが放ったらかしにしていたとの事だから、フォーミングしないで通電したら、コンデンサの電解液臭い紙吹雪クラッカーかも知れない。その前に5U4が吹っ飛んで危機回避をしてくれるかも知れないが、それに頼るのも危険な香りしかしない。

そもそも、7027は6L6GCの軍用割り振りで、それでも1930年代後期の製品位だろうと思うから、かなり年寄りな事には違いない。

 

交換修理という修理はしていない様にザックリ見た感じする。

AC部分は随分弄った感があるが、増幅部は触っていない様子。

AC線は切ってあったから、毎度のヨリ線で繋いだ。

シールド線辺りは触っていそうに見えたが、上手い仕上げになっているから、元々かな?

流れ作業で女工さんがパッパ組んで作っていた頃だから、あまり綺麗じゃないのは致し方ない。量産の悪い部分である。

それでも日本って綺麗に作るモノで、テレビの中の、あの量の部品を綺麗に整頓して纏めて仕上げていたもので。

舶来のを見るとコンデンサは斜めに走るし、ピーキングコイルはブラブラとビヨンビヨンしているし(笑)

 

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20Vから時間を掛けて徐々に上げて行くと40Vを越えた時点で僅かに増幅が始まり、音が聞こえた。

何も無しにジワジワやるのも、退屈だから信号を入れておいたのである。

それからまたジワジワと110V迄上げておいたから、100Vを今度はドンで入れても大丈夫であろう。

100V時の消費電力は100Wだった。

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RCAのエンブレムがカッコイイ(o^^o)
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ハムも無いし一見して具合良い雰囲気であるが、初段とトーンコントロールの間のカップリングが漏れていて、VRを回すとゴソゴソと直流漏れの音がするから、交換しないとVRのカーボンを焼く羽目になるのは見えている。

だからアースの方に倒しておいて、カーボンに電流が行かない様にして試験。短期間ならば何処の位置でも問題無いだろうが。

意味が分かっているのと、いないのでは、より壊すか壊さないかの分岐点でもある(笑)

 

本機のトーンコントロールはMaxの位置でフラットに来る、減衰のみの簡易型が採用されている。

という事は、前段に入るアンプで、低域と高域を持ち上げた出力のセットを繋いだ時に、このトーンコントロールを真ん中にした時に具合良くフラットになる様に設計されている物の可能性が高い。

とは言っても、Phonographの入力しか無いのであるが、1V位無いとフルスイングしそうに無いから、フォノEQユニットは必要である。

低域を大幅に持ち上げて、高域は浅くカットした出力の物が繋がると最適という事になる。

トーンコントロールを中央にセットして“上下にコントロールを効かせる場合に”はである。

そうすると、必然的にマイクの入力も低高がカットされ、中高域が山になった特性になって、声が良く通る音に仕上がる。

設計の意図を汲み取ると、そう考えられるが、まぁ人それぞれ思う節は異なるかと思うが。

 

前段に繋がるセットが入手出来れば、結果が分かるが、それは無理難題の様に思うが、変に低域が強調され、ハイのキラキラしたEQユニットがあるとすれば、これを通すと足し引きして、フラットな出力が得られるであろう。

昔のユニットは、1台1台バラでは上手く動かない事が多い。セットになって結果的に特性を揃えるという設計であれば、全てが揃わなければ、良さは分からないハズである。

それを“持ち味”と考えるかは別であるが。