A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

OPTを逆さに使ってsgに戻す

実験をしていて、ふとシングルOPTの許容電流値を超えて使った場合に、磁化して低域が出なくなるのを、ppの様に使ったら、磁化が緩和し、低域が豊かに鳴るのかを実験していた時に、逆向きに単に電流を流すのではなく、sgに入れたらどうなるのかやってみたのである。

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Fig1がその繋ぎ方である。

BとPを逆さにして中間タップにBを入れて逆向きのタップをsgに入れる。

こうするとハイが少し明るくなって、ナローなトランスがHiFiになる様な雰囲気がある。

細かい音が出る様に感じられた。

然し乍ら、sgへ流れる電流は、プレートよりかかなり小さいから、磁気飽和を打ち消す効果は期待出来ない。

 

UL接続ではFig2になり、同相がsgへ戻る事になると思われる。

そう考えると、この繋ぎ方は正帰還を起こす繋ぎ方になるか(?)

Bを繋いでタップから見ると、位相はBタップを境に電流が左右に分かれて、かなりのアンバランスはあるが、ppらしい雰囲気になるから、位相も逆転する事と思うが、プレートから見るならば、どちらも同相か。またその逆から見ても同じになる事と思われる…という事は反転はしていないのか…?

ハイが出る様になって、特性が改善されるという事は、定めしULと同じ効果が得られていると考えられる。

UL、Ultra Linierの名称の通り、ハイ迄伸びが良くなる。

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然し乍ら整理がつかない。電流の向きは左右で二手に別れるが、信号は逆転しないのかするのかが分からないが、カソードから見るとどちらも同相と見做せるか…

ちなみに、周波数変換管、ペンタグリッドは、第一グリッドへ入れた信号は反転してプレートへ現れるが、第三グリッドへ入れた信号は反転せずにプレートへ現る。

そんな事が頭にあるものだから、もしかするとsgへ入れた信号は反転しないのではないかと思う節があるが、調べないとわからない。

Bの高圧をオシロのGndに落として良いか…シャーシアースを共通にしてしまっているのをとりあえず全て外せば良いか…いや、信号だけ見られたら良いから、両方共にCで切れば信号だけ確認出来るか(^ω^;;)

確認する。

 

 

 

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Bタップを基準に両端は反転している。

 

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カソードを基準にPとSGを見ると、同じく反転していたが、これではUL接続の場合には正帰還になるのではあるまいか?

もしくは逆相で戻す事が正帰還になってしまう?

SGに入力を入れて、プレートへ反転で出るのか、反転しないのか確認する必要がやはりある。

 

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上 プレート、下sg入力信号

sgに80kをBとの間に入れて信号をsgへ入れてsg変調で観測したもので、sgへの入力に対してプレートへは反転して出てくる事が分かった。

従って、プレートから出る信号を反転させsgへ戻すという事は、正帰還をさせるという事になる。

一般に正帰還をさせれば発振を起こすが、sg変調の場合は、増幅度がcgに対して低く(-20dB程下がる)OPTの端子も巻き数が小さい側でやっているから、発振する程に戻っておらず、安定的なのだと考えられる。

 

この事から、ハイが明るく、出る様に感じるのは、高域のインピーダンスが上昇し、その分電圧は上昇して軽負荷になるという事であるから、多くがsgを通して戻り、ちょうどラウドネス効果の様な具合に働いている事と考えられる。

歪む程に爆音で鳴らした時は、ハイの上昇変化を感じ難く、一定している様に聞こえ、音量が小さい時にタップを変更するとハイの上がり下がりを感じる事が出来る。

高域側のオートラウドネスの様な感じではあるが、スピーカー側にコンデンサで高域インピーダンス上昇防止となっていた場合は、この効果は無効になるという意味でもあろう。

 

UL的にしたいのであれば、例えば7kにプレートを繋いだら、5kとか3kとかの端子をsgへ戻せば、其れらしい負帰還という事になる。

試しに、7k-5k-3kのタップで7kにプレートで、sgを各タップへ当てて音を瞬時切替の様に聞いたが、B+に繋ぐと一番音が大きく、明るい音がする。

次いで3kタップへ繋ぐと音量が一段下がり、ハイも少しキラキラした印象が無くなった。

5kタップでは、また一段音量が下がり、ハイもかなり下がるが、ミッド辺りが下がっている様で、チャキチャキと高い方は鳴っている。

中抜けした様にも聞こえるが、低域が豊かになって来る。

低域が特性的に出ないOPTや、回路の場合は、これは効果があると感じた。

7kタップへ繋ぐという事はプレートと一緒になるから、三結となり、これは高域が暗くなり音量も下がり、出ていた低域が少し引っ込んだ印象がある。

また、音量が下がるから今迄通りに音量を得ようとすると、最大出力に引っ掛かってしまい歪んでしまった。

結果的には音量が下がった分、入力を大きくするも、最大振幅が限られて出力が小さくなってしまう。

 

5極管接続は、明るい派手なハッタリの効いた様なアメリカンな雰囲気があって、それもそれでHiFiらしいというか、球の各々が現れ易い使い方かも知れないが、あまりにも出しゃ張る様な場合は、戒め(?)としてsgへ負帰還させると大人しくはさせられるという事であろうか。

強く戻すのは、ある意味個性を潰し過ぎて、結局どれも同じで面白くないという事になりそうに思えてならない。

単に回路が珍しいというだけでも面白くないが、まぁあまりにも特性が劣る場合は、こういう手も使えるなと、頭の引き出しに。

どちらにしろ、また勉強になった。