A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

連続可変 ダンピングファクター、ダブルフィードバック 6L6シングル

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18年に作った、可変DF、ダブルフィードバックの6L6シングルが帰ってきた。

Daleの5Wや10W巻線と、1個で数千円レベルの高級品をドンドコ投入してあって、見かけによらず金の延べ棒みたいな代物だった(笑)

作ったサイドも忘れているというw

 

可変DFは、出力の電流を電圧に変換したのを初段へフィードバックするという構造である。

一昔前(昭和33年辺り)に流行った回路であり、モーションフィードバックと言われていた記憶。

マニア向けの代物であるが、私には可変してもDFの違いが分からず、この後の物には、この回路は採用した事がない。

専ら、このDF可変は、相当な大音量時にしか発動しないハズで、そういうのも、電流を流してその分のドロップを計測しているワケであるから、0.5W出ているか程度では数mVにもなるかならないかで、それを帰還させても、変化は感じられないであろう。

 

更に、終段のスクリーンにもフィードバックを掛け、p-pアンバランスが小さく出来る...というモノ。

数台、double feedbackという名称で作ったが、sgは安定に固定しておいた方が音の応答が良い聞こえがするから、その後はやっていない。

気にいるかは、オーナー次第であるが、マニアにはウケが良いだろうが、モニタ系好きには合わないかな。

 

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当時も実験していたと思うが、記録が残っておらず。

面白いから試験してみる。

DFのVRでどの様な変化があるのかオシロで見てみると8Ω 1Wで100mV最大の変化が低域100c/s以下で起きた。

100mVの変化は1W中の0.001Wであるから、変化は感じられないのも言うまでもない。

更に100c/s以下、50c/s辺りで100mVであるから、超低域が入ったソースでないと気が付かないレベルであった。

 

今考えると、DF可変はスピーカーのVCとは別で、同ボビン内に発電用コイルを巻き足し、これを増幅して、信号ソースと打ち消しを行い、そこから外れて現れた信号成分が、スピーカーコーンを遊びという事になる。

従って、これを逆相である程度大きくして帰還させる事で、コーンの遊びを制御出来るであろう。

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思いつきの回路であるが、例えばとして残しておく。

 

こうやれば、ダンピングファクターは1を超えるかも知れない...が、計算通りには行かないであろう。

誰かが言っていたが、計算では10や100になっても、実質的なスピーカーコーンは、空気抵抗やらで、どんなに足掻いても1であろうという。

トランス結合のアンプは1以下、DCアンプで1。

如何考えるかは人それぞれで良いが、私もこれに同感。

 

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早い段階からL負荷の歪み方が見られた。

optは10Wで6L6は出て6W程度だから余裕があるはずであるが、何か上手く行っていないらしい。

観測中の出力は4.5Wである。

 

歪みの原因を探ると終段カソード抵抗が1kで25mAしか流れていない。

大体50mA位だから半分である。

電源トランスの容量が小さかったから少なくしたのか、番号コードの読み間違えか今になると分からないが、B電圧も230V程度と低くしてあった。

インダクタンス負荷の歪みは、SGにフィードバックした信号に位相ズレが生じる様で、其の儘では宜しくないから、デカップリングで安定にしてやるとゲインも上がって歪みも小さくなった。

ただデカップリングで逃しているから帰還の意味合いは薄れるから、カソードに帰還させた方が安定は良くなりそうだ。

 

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カソードバイアスを浅く変更、ある程度電流を流してやると、B電圧のドロップ抵抗がかなり熱くなって焦げ臭くなった。B電圧もかなり低くなった。

抵抗値を小さく変更、整流直後は350Vあるから、抵抗で25Vドロップ、FETで25Vドロップで、300V得られる様に。

FETでフィルタになっているから、リプルは無い。

合計で140mA程流れて、出力は8Ω 6Wと改善。

 

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Staxのヘッドスピーカーが、何Vでどの位の音になるのか、試してみた。

バイアスに300V、信号をアンバランスで20V印加すると、レベルは低いが音にはなっているが、思った以上に低域寄りに鳴っていて、シャリつく高音が嘘の様。

基本的に、振動板はクリスタルと同じく、高抵抗(無限大)であるから、電流は必要ない。

電圧だけで動作するから、如何に大きく信号を得るかが問題であるが、球であれば、1本でもドライブ出来そうだ。

ただ、アンバランスを入力の+と-に入れると、音が消えるから、プッシュプルで送り出す必要がある。

両サイドの固定電極には、音声信号のDCをカットしてAC信号しか入れず、振動板に+バイアスを印加して動作させているが、球の場合、プレート変調させた信号をCカットせずに直接入れられたら、プレート電圧共にバイアスになるのではないかと考えている。

その場合、振動板がマイナスとなるが、それでも原理的には動作しそうであるが、何故やらないのか...ショートした時の安全性?固定電極が耳に近くなるから+にはしない?

実際の所、どうなのか実験してみる。

 

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結論は、良い音で鳴った。

高圧側がより近くなる事を考えると、ちょっと恐ろしいが、この方が同じ電圧でも音圧が高く得られている。

ショートした時の保護抵抗に1Mを入れたが、これを入れていると、高域がかなり曇る。

無い方が晴々していた。

金網にも静電が幾らか出るかと測ってみたが、問題ない。

幾分面白い代物である。

球式ドライバを色々作ってみる事にする。