A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Convergent Audio Technology SL-1

CAT SL-1の修理は通いでボチボチ進めていたが、通電の度に何処かの抵抗が火花を散らして焼けるという具合で厄介極まりない。

そもそも、焼けた痕跡があり、既に前オーナーが苦戦したらしい雰囲気があるが、問題なく動いていた中古を買ったそうな。

既にかなりの部品点数を交換している模様であり、何がオリジナルなのかはよく分からない状態。

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初っ端は基板に書いてあるR97が焼けていて、ヒューズも飛んでいた。

回路図上も似た様な部分になっているが、ここではない。が、しかし、同じ動作をする部分だから、指定場所が違うだけで、合ってると言っちゃ合ってる。

VN2222Lがショートモードで飛んでいるか、47μF乃至0.1μFのコンデンサがショートしているか。

結局、石が怪しく交換したが、スライダックで上げるとやはり抵抗に電圧が出過ぎる。電圧がフラフラしている。

0.1μFを外してみると、今度は問題無くなって焼けもしない。

どうやらレアショートらしい。

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直ったかなと、ドン入れしてみると10数秒経った時に、バチバチ ジジィーと始まり、白煙が上がった。

この図だとR44に当たる抵抗が焼けたが、全体に部品番号は一致していない様子。かなり怪しいが、パターンを追って確認すると、適合する場所はある。

 

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今日行ってツェナーは交換してみた。30Vと15Vの組み合わせで195V。

R44は普通一般に考えるとツェナー側へ電流を流し過ぎていないか?と思って少し大きい510Ωにして、通電すると、今度はツェナーを付けているハンダが溶け出し、白煙を上げた。

330℃かを超えているかと思う。

電燈線電圧を下げてチェックすると、LM317が機能していないのかなんなのか、ADJに対して大凡50Vも上回って電圧が出ている。

510Ωに対して50V差は、大凡100mA流れている。

ツェナーに100mA近く流れると、30Vの物は3W。15Vで1.5Wか。

またしても壊したかな。

LM317も交換しないとならなかったかな。

それにしても、基準電圧を作るだけで、この電流をフィードバックさせるのは、流し過ぎでは?

と思っていたが、ADJに入った電圧以上にそもそもOUTに出るのが壊れている証拠かな。

OUTから出た電圧が、ツェナーで定まり、ADJにフィードバックされ、その電圧以上には上がらないから、電流も流れないのかな。

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考え方的にこんな具合で。

多分、電圧が下がるとツェナーが働かないから、電圧が上がる、ツェナー働く、また下がるを繰り返しそう。その為に0.1μFが入っていそう。

ただ、LM317って、40V?50V程度だったと思う。

ADJに対して(?)IN-OUTがその電圧を超えなければ良いという事なのか理解が追いついていないのも悪いが、基板は厄介である(^ω^;;)

ps:データシートを良く読んだら、入出力間電圧が40V迄だった。

開きが40V以内であれば良いらしい。

 

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そもそも250V近くが出ると言う事は、ここのツェナーが素通り(?)

電源は別箱であるが、これもチェックした方が良さそうだ。

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全部球にしたら、こんな感じになるのかな。

VR27なんて超低電圧な定電圧放電管は多分無いだろうけど。

でもって100mAも流すのだとすれば、制御は全てUY-807かな。6L6パラは壮大だなぁ(^^;;

 

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LM317を交換、電源のツェナーも交換。

電源の石は既に交換済みでパターン変更がされている。

多分、ECBの並びが違う石が使ってあったのだと想像。

スライダックで上げて100Vで、ツェナーへ流れるのは10数mAと安定的だったが、0.3-0.4W程でも割と温まる。

B+の石を出た部分で310Vあって、図の235Vとは随分とかけ離れている。

石が機能していのか分からないが、挿さっていたものと同じ物に交換済。

オリジナルは何だか分からない。

AC230Vの両波だとすれば、Bは280V前後になるかと思うのだけど、310Vは結構高いから、260Vタップなのかな。

もっと低いタップは出ているのか見てもよく分からないトランス。

1次側は200Vに対応するのか、遊び線が2本ラグへ出ていたが、よく分からない。DCRは3.5Ω前後が100ラインへ繋がっているが、それぞれの遊びタップは5Ω最高で出る。

これらを使ってBを下げられるならそうした方が良さそう。

というのも、コンデンサが350V耐圧の物を使っているから、結構ギリギリ設計の様。

制御部は200Vだからという意味か、250V耐圧の物が乗っている。

 

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色々考えて、そもそもの平滑トランジスタの部分をスルーしている?

μ100の石ならば、1mAベースに入れると100mA流れる様になる?

のかなと思って、ベース電圧をまずは下げてブリーダーを入れてみた。
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そうするとツェナーが焼ける事が無くなった。

しかしB電圧は300V出ていて、やはり高い。

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物は試し、出力を試聴。

ハムが物凄く残っているが増幅はしていた。

なるほど。石の代替えが悪かったのか壊れたのか…

ショートにはなっていないが、元付いていたものとμが異なる代替え品を出してくれたっぽいから、前オーナーが付けて石を探す事にする。

ちなみに熱は出ていないから、ドロップしていない様だ。

コレクターへ入るB電圧は320V出ていた。

ツェナーだけでドロップする回路で現状動作している様だ。

 

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足立の樫木総業にしか在庫がないらしく、一走りして調達。

他は若松で寄せ集めた。

これに交換するとB電圧は250Vに下がって、発熱の量も格段に小さい。

ハムもなく、正常動作に戻った。

電源平滑、制御部分と言えども、シビアらしい。

長い事やっていたが、ようやく終止符が来た。

これにて完。