もしかすると古いかもと思って仕入れた。
壊れ物という事であり、機械が右に寄っている事から、ゼンマイが切れているかなと推測。
振り子室を見ると振り子はあるが、巻鍵欠品。
その前に振り竿が無くて、折ったか。困ったな、と思ったら、一部が剥がれたラベルの裏に落ちて隠れていた。
振りベラが派手に曲がって、戻すと折れるかも知れないと思いつつ静かに戻してやると戻った。
亀裂も無い。
てっきりゼンマイは破断していると思ったが、予想は外れた。
機械は給油は怠らなかった様であるが、汚い。
古い油が粘っていて、その上から給油して緩くして動かしていた様である。
かなりトルク伝達が悪化しているが、動きはしそう。
アンクルの一部が欠けている。
何か、曲げようとして折ったかな。
微妙ではあるが、ギリギリ歯には干渉しないから此の儘使う。
文字盤は紙のプリントで、ロゴもないし、裏は一回外した形跡があるから張替えたであろうと思ったが、捲れる箇所を捲ってみてもどうにも下には貼られていない様子。
それに、付け替えたにしても、ハンダをやっていないのに、紙が一部変色している。
即ち、ハンダをした時に既に貼られあったという事である。
という事は、これはオリジナルの様である。
とりあえず機械が油っぽい様な乾燥している様な、汚いから洗う。
かなり前の油がカチカチであるから漬け置き。
溶剤の揮発で冷たくなって手は痛いし、痺れるし、終いに指が浮腫むと思ったら手袋が穴開いて、空気に触れた途端から手が真っ赤になって撃痛(ーー;)
溶剤あるある。
洗終わった。
手作りワインダーで錆とベタベタを拭き掃除。
引っ張り出して拭いたら油引きして戻し。
検査。
時打ち3番がホゾ摩耗があったが、他は綺麗なもので、タガネ痕が無い。
金属シュモクのバンバンとした音が精神的な癇に障って、耳の奥がグンと来て痛くなる感じがあるからトロイダル巻きした。
柔らかい音で良い。
組み戻し。
指針は錆を粗くヤスってニスをくれているが気に入らないから引っ剥がす。
色入れ。
精工舎の中でも、本所 柳島工場の物は初期の物だそうだ。明治期。
それにしても機械は汚い割に具合良かった。不思議なもので、綺麗に物はあんまり良くなかったりする。
暫くして沈殿した汚れ。
溜まった汚れは結構凄い粘度があって驚いた。