A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

服部時計 自動電氣時報時計

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終わり間際に出品取り消しをやる類で、また再出品していたから、またどうせ入札したって取り消すだろうなと踏んで、遊び半分で入れておいてすっかり忘れていたら、落札になっていた。

支払いはしたが、値段が気に入らないから削除したいと連絡が来るかと思ったが、その様な連絡もなく品物が届いた。

何がしたくて取り消ししていたのだか…。前回の方が値段は上がっていたが。あれはサクラだったのかな?

まぁ良い。機械が見てみたかったから、早速開腹。
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OHはせず給油をした状態。

マシン油よりか稠度が高くベタついている。

酸化しているのか、ネコションの様な独特の臭い。あまり良い気はしない。

蓄音器のあの甘い香りとは正反対。臭い感じ。
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時報側を自動スイッチとして使って、スイッチが接の時にはボンボンが鳴る。

1回15回打ち。

5分毎に設定出来る。

1回転6時間の回転板が4周期割で24時間設定が出来る。ピンの立て位置とスリ割で4周別々に設定出来る。

面白い構造である。
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タイマー部分を外してしまえば、普通一般の時計と同じ顔である。

時報側の数取車が特殊ではある。
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振りベラは折ったらしい。ハンダで継ぎ合わせてあった。

外れる様子もなさそうだから此の儘に。
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機械はくれた油とでドロドロで、良く動いていたなという。

自動スイッチの方はツツカナにも油が入って、空回りで動いていなかった。

油が酸化しているのか、緑の時計屋が良く使う油か分からないが、芸術的色合いをしている。
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洗い…
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とやっていたら、突如洗い筆が真っ二つ。

ペキンと良い音がしたが、縁起悪い気がして、一旦止めにした。
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ゼンマイとが凄い粘っているから、漬け置き。

 


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洗い再開。
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大分凄い状態。揮発させて廃棄する。

 

ゼンマイ自体は、一旦戻し器にかけて、止め輪を外して綺麗になる迄引っ張り出して拭う。

グリスをウエスにとって、引っ張り出して薄く伸ばして馴染ませ、また巻き上げて止め輪を掛けて完成。

手間は食うが、トルクをなるべく無駄にしない様にする重要な作業。
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各部品調べたが、面白い様に良く出来ている。

売っている製品ではこんなに手の込んだ仕様では無い様な…

コストをケチる前の試作品の様な作り込みである。

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最短5分毎に鳴動させられるから、レリーズのカットも大量。見た事ない量。

レリーズの上がりが急勾配である為、レリーズの負荷が結構大きいかと推測。

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時報2番車と数取車が一体化していて、15と刻まれている様に、1回、1回転15回打つ。
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内歯が残っているのは名残かな。ハンダで板を接合しているのかも知れない。
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アンクルは良く磨かれていて、良く出来た鏡面。売り物のはここ迄磨かれていない。

ホゾにもガタがないし、かなりミテクレは悪い状態だったが、機械の質は非常に良い。

手抜き感もない。

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タイマー盤 裏は12時間で1回転という様式も実験的に作ったらしい。

12時間割だと、1コマが10分毎になる。f:id:A2laboratory:20230301204348j:image

表は6時間割である。

これだと、1コマは分解能が倍で5分毎になる。

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組み立て調整。

スイッチは接続にならない状態にあったが、曲げ調整をして接触する様にしたが、通電させる事はしなくとも、渦ボンが十分ベルの代わりになっている。
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ダイヤルの剥れは薄く伸ばした糊で接着。

 

とりあえずダイヤルは無しに試運転してみる。

 

 

ちなみに、服部時計 大阪支店 博労町4丁目 という銘板があるのだけど、戦前の事の様だ。