レコカットのドライブ不具合修理の依頼。
ちょっと珍しいタイプの不具合。
プラッタを乗せると、モーターボードに接触する。
…ので、グリスをシャフトに塗布してやると、浮くには浮くが、粘って回転に塩梅が悪いそうな。
ふむふむ。そうだろうな。と思った。
そもそも、プラッタはリムドライブで、トルクは弱い方。
シャフトはその弱いトルクを如何に安定に、円滑に回すかが問題で、グリスをくれる場所ではない。
特に古い物は、ソコニーの20番を1000時間程度おきに、くれろと指示が出ている。
要はこれはエンジンオイルなのであって、摩耗を減らしたいのであるから、摩耗を進める様な事をしてはならない。
例えば、エンジンオイルの代わりに、何か違う油を入れては、すぐには症状は現れないかも知れないが、その車が余程価値のある物であれば、尚更、その様な事はしないで使った方が良いのではないかなと。
こちらも同じく、シャフト部分は車で言えば、エンジンの駆動部と言って良い部分。
円滑且つ無駄な抵抗がない様に、オイルを上へ持ち上げ、ポンプの代わりになる様に溝切りがしてある。
良く出来た設計である。
それで、現状の不具合というやつは、シャフト受けが欠品しているのである。
全体のホゾ受けが欠品している訳ではなく、点接でシャフトの中心を受ける為の部分である。
このドライブは、運搬の際には、プラッタを外すのか分からないが、受けが欠如する可能性を考えると、これは抜かずに運搬をするのが前提か、それともサービスマンが搬入する事が前提なのか分からないが、業務用であるシャフトの太さ、オイル循環溝がある事からしても、一旦電源を入れたら、回しっぱなしの環境下に耐える設計である。
民生機だとすれば、相当な高価な代物と思われる。
シャフト受けは、オリジナルが不明な為、斜の角度から、プラッタを何mm浮かせるのか、計算して、合ったものを探すか、無ければNTNに注文する事になる。
まずは、高さを割り出す。
オリジナルのマットは中央くり抜きらしいが、剥がれた様である。
別珍か?ゴムかな。
今はコルクの割りかし厚いのが敷いてある。
恐らく、1mmか2mm前後はオリジナルよりか厚いのではないかなと予想。
アームは微調整が効くかな。
ならばリムの滑る位置が適当であれば、それに合わせた高さになる様に部品を誂えさせるだけである。
トーレンスやRCAと同様に、センターは半回転でシングルのスピンドルになる。
あまり使う事はないが、アダプタを無くす心配はない。外れないのであるから(笑)
さて。計算をしよう。
油が割と溢れているのと、リムがツルツル。
油は如何にも揮発しそうな、石油を含んだ物の様なニオイがある。
これはあまり良くないから、洗ってしまおう。
石油系の潤滑油は、言ってしまえば、洗い用。
潤滑油…という名称は合っているのメーカーに聞きたいが、一瞬は潤滑と錆落とし(?)の役に立つが、周りのグリスやらも溶かしてしまって、流れ落ちてしまう。
流れ落ちた後は、石油分が揮発して、潤滑油(?)は残らない。
従って乾いてしまう。だから洗い油。
バイクのチェーンに使っていたライダーさんは、これを信じて使っていた様であるが、高速でチェーンが焼き切れ、巻き込み、後続車に轢かれて亡くなられた様である。
そんなで、石油らしいニオイがあるものは、潤滑油とあっても使わない方が良い。乾くから。
洗い油として使えば、それは良い。
後で正式なマシン油なり、製造メーカーが推奨するもの、乃至、同等品をくれる様にする事。
どうしても、その揮発するモノが良ければ、1週間に1回、くれ続ければ良い。
乾くのが問題であるから、乾かせなければ良い。
がしかし、高速回転、熱の出る物の付近では、揮発性が高まる為に、常にくれる様にしないと焼き切れる可能性は高い。
よって、昔の工場の様に、毎朝オイルポットを持って歩いて、機械にくれるのが好きならば、スプレーの潤滑油でも良いでしょう。
ただ。
汚れは緩くなったとしても、完全に洗えはしないから、これが研磨剤の役割をする。
黒く光る様に油がなっていたならば、それは間違えなく金属が擦れて摩耗した屑であって、寿命は近くなる。
軟骨の間にヤスリを挟んで歩いているのと同じ。ヘルニアになるのと同じ状態。
軟骨が抉れてしまっては、機械も精度は出ません、動きも鈍くなります。
無理矢理動かしていると悪化します。
病院に行った方が良いです。
人も機械もまぁ似た様なものです…
最近寝不足かな…遅くまで作業しているから、ボーっとして物忘れもあるし、なんだかなぁと。
機械も休ませた方が良い時期もあるのかなぁ…分かりません。