今回は久しぶりの時計屋さんにシフト。
頭丸のロング8吋は八角ロングと同様良くあるが、これは5吋の頭丸ロングで、あまり見ない大きさと思われ、今当宅にあるのは極端に大きいか小さいか、中間は結構集めたから放出したいとは思ってはいるけれども残っているという具合。
小さければ場所食わなくて良いかなと入手。
動作はしそうな、しなさそうな(^^;; (どっちだよw
説明は20年ほど前に購入、オーバホールしてあったそうな事が書いてあったが、文字盤裏にはS34の書き込みがあったから、62年前じゃないかな(笑)
ある程度ゼンマイは巻いてあったが機械は半世紀は触っていないか、砂埃とでパサーッとしている。錆も結構出ているが、回転部分は磨かれている。
結構頑張って動いていたか、ホゾ穴の磨耗が若干ガンギ車で見受けられる。
タガネで矯正した痕跡があるが。
機械が木枠ギッチリに収まっていて、どうやって固定したのだろう?
機械の組み付けがどうにも分からなかったが、縁の木組みを外して機械が外せる様になっていた。
良く出来ている。標準のと比べても逆にコストが逆に掛かりそうだ。
機械も風変わりだと面白いが、至って一般。
久しぶりであるが、小分けにした洗い油を出したら空っぽに近い。
一斗缶の方も移したら空になってしまって。
更に手袋を探したら箱に最後の1枚しかなくて、洗い油に浸かる方だけの片手だけでも良いやと(^^;;
ガチャガチャとバラして洗い。
そうしていたら、冷たいかなぁと感覚があったが、其の儘続行。
もう暫くすると、どうも感覚が変だ。ピリピリと痛みが出た。
確認すると手袋に穴が空いていたらしい。時既に遅し。
指とで皮膚が膨らんだ様になって、触るとパンパンになっている風船を押しているかの様な、皮膚が張り裂けそうな鈍痛。
押して触るのを止めると、急激に萎む様なシワシワと皮膚がバリバリした様な感覚が来て、溶剤が揮発する時にかなり冷たくなるから、そっと温める様な事をすると、更に指内部が熱い様な冷たい様な、どちらとも言えない感覚が襲われ、浸透した溶剤を揮発させないとと風に当てたらまぁ痛い。
我慢していると次第に良くなってきたが、干し葡萄の様に皺くちゃで皮膚が硬くなった感じになってとりあえず落ち着いた。
多分強力に脱脂されてガチガチになっていると思われる。直に長時間触るのは危険だ。
そういえば、ジッポのライターオイルがポケットで溢れた時も、接していた肌の近くが焼けるみたいな痛みがあって、あれも強烈だったなぁ。風呂に入ると余計に痛かったっけ。
溢れたのが気付く時には結構時間経っちゃっていたのだろうなぁ多分。
そういえば、インドだったかパキスタンだったか、そんな感じの中東で、原油風呂なるエステなのか健康促進(?)なのか忘れたが、テレビジョンで見た事があるが、最長は5分だった様に思う。
あれも多分、長く入っていたら、痛くなって大変な事になるのではなかろうか。
いやあ危なさそうだ(^ω^;;)
ゼンマイも錆びが浮いてパサパサして良くないから、引き出して掃除。
何度か行ったり来たりして引っ張り出して綺麗になるまで拭いたら、グリスをウエスに取ってまた引っ張り出して一緒に拭いていく。
薄く伸ばしながら何往復。
前。後。
完成。
横から吹き掛けて浸透するのを期待するのはムラになってダメだし、浸透する程シャバい潤滑油(?)は揮発が速くて良くない。固着の原因になる。
何度も教えたが、結局教えた通りにやらないミーハー君は結局組めたのかな。諦めたかな。今となっては、もうどうでも良い事だが(笑)
ホゾ穴直しにタガネで叩いてきた。
結構バリが出ていて、元から良い製造ではない様子。大量生産スタイルの良くない感じ。
なさか蹴飛ばしで抜いている訳ではないだろうけど、金型も少し疲れ気味なのかも知れない。
多分、パワープレスと思うけど。
作りはアメリカのを模しているから、アメリカンなんだよなぁ。力任せで、機械バランスはあまり考えていない様な。
ドイツ系は他国のを改良に改良しているから作りも良いのだけども、突如合理的になる作りになるから何とも言えないけれども。
フランスは作り込みも素材もドンドコ投資するから、壊れるに壊れなさそうなゴツイ感じだ。
でもやはり突如と合理的に安上がりになったりするんだなぁ(^^;;
機械バランス重視で静かで良いけど、力任せでないから止まり易いけれども。安定の良い暖炉に置いたりそういうの前提だったりなのだろうが。
最近は腕時計触っていないから殆ど出番がないけど必要な工具たち。
結構何だかんだ高価(^^;;
使う前に研ぐ必要があったり手間食うけど、逆にそういう物の方が高くて、使い捨てみたいな物の方が安いという不思議。
一番車の歯車が幾分痩せていたが、入れ歯レベルでなく半面が揃っているから、偏心してプレスしているかも分からない。
あまり良くないが、交換で探すのも手間だから、とりあえずオリジナルで組み付ける。
確認しては組んで、位置を調整して時報のレリーズを調整して仕上げ。
給油しなくとも動くのが最良であり、そうでないとマズイのであるが、キコキコと音がして塩梅悪いが動く事を確認。
“油で動く“乃至”油がないと動かない“というのは、機械の基本として誤っていて、油は磨耗を防ぐ為の物である。そう考えたら良い。
試運転。
特に問題ない。
時報側もタガネで詰めたから、機械がガラガラ鳴るのも静かな方。
後は歩度を様子見しよう。
ただ、振り子長は長いっちゃ長いが、軽い振り子だから、蹴り出しのトルクに左右されそう。
精度は一時停止の区間のあるガンギではなし、そんなに期待できない様な気もするが、如何程か。