KH、Kintaro Hattori. 服部時計店
精工舎とはまた違う部門、事務用品はKHロゴを使った様である。
タイムレコーダー、巡回記録時計を知っている。内タイムレコーダーは現品有。
今回入手したのは、単なる標準時計の様である。
ベルタイマーでも何でもない。自動巻きタイプなのは相変わらず。
ゴミ山から拾って来たのか、廃墟の事務所から引き上げたのか、カビの模様がガラスに出て白く曇っている。本体は触るとすぐに手が真っ黒になるという。
安いから致し方ない。スーパージャンクに相応しい。
しかしながら、こういう方が状態が良かったりする。というのも、人の手が入っていて余計に壊された物は、ミテクレの程度が良かったりするが、中身は酷いというのは経験がある。
磨いてやるとなんだなんだ。綺麗なもんだ。
廃墟にでも放置してあったのかも分からないが、状態は良かった。推測通り。
試しに動かすと動作した。
機械はタイムレコーダーと同じ様なデザイン。
振り子が棒ではないが。
ガンギは無垢で中抜きなし。
ホゾはグリスなのか結構盛ってあるが、ガタつきはないから摩耗はしていないらしい。
ただゼンマイの香箱は弱いからダメになっている筈である。
機械は洗いを兼ねて分解。
やはりゼンマイ香箱は酷く楕円になって、ガタガタである。
ガタガタレベルも、歯が傾き、中央が出てないで遊んでいるのが正常かの様な状態。そんな訳はないが。
そんなだから、巻き上げ検知の歯車と噛み合わなくなる場所が出る程に摩耗が激しい。
よくゼンマイが巻き過ぎで切れなかったなと思う。
タイムレコーダーは巻き過ぎで1度破断している。以前にもその問題があって修理した様な痕跡もあった。
横ネジのある歯車が検知用。
対して1番車が歪んで噛み合わない。噛み合う場所も回して行くと一部分ある。
香箱をタガネで叩いた所で元に戻ったとしても、大凡半世紀で楕円になるから、タガネ叩きは有効の気がしない。
トルクがある場所であるし、ワッシャーで矯正して水平を維持する様にした。
これで歯は噛み合う。
アンクルは停止部分のあるタイプ。
蹴り出しっぱなしではない点、安定性は良い。
振り子は指紋が錆びてスモーキーだったから、スサーっとバフかけした。ピカピカ。
この振り子、見かけによらず、かなり重い。
組み上げて、ゼンマイの巻き上げ度合いとスイッチの調整とをして箱へ戻す。
箱に転がってる電球は、後で説明する事にする(笑)
運針に問題ない事を確認、通電を確認してモーターを巻き上げる。
1日1回、結構不定期であるが、巻き上げがされるはずである。タイムレコーダーはそうだった。
壁の空きが無いから床置きであるが、機械バランサが中に入っているから、何処でもバランスは合わせられるという優れ物。
それでこの電球であるが、モーターは100Vで動かす物なのだが、バチン、カラカラ ガラガラ、バチン と結構騒がしいのである。
そこで、電球を間に入れて電球ドロップをすると、電圧も落ち、回転速度も落ちるから、静音性が向上する。
機械スイッチの入る音は消えないが、高速で回る歯車のガラガラ音は消えるのである。
グリスをくれておくと一時期は静かなのだが、やはりグリスが回転で飛び散ってしまうから、ガラガラ再発になる。
そうなるならば、コンデンサで電流を制限するか、抵抗でドロップするかした方が良いが、抵抗は焼けるし、コンデンサは容量がシビアだから、電球の方が楽で良い。何かとなれば電球が切れて保護になる。
この場合はレアショートだと明るく光るだけで切れる事はないだろうが。
(ショートしても電球が100Vを消費するから)
このシルバニアのE26、15Wなのだけども、これが結構今になるとレアーな品物だから、別の15Wを買ってきて付ける事にする。
巻き上げ動作状態の時はボンヤリとランプが燈ってパイロットランプにもなって面白い。
フィラメントでないと真似できない。