A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

wall clock repair.

机を一旦片付け。精密機械モードに変更すべく清掃。

ハンダクズに切屑、剥きクズ、モクの灰(笑)

ホコリも砂も機械に入ると全て研磨剤の役目をするから、早いうちに壊す元になる。切り替え重要。
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修理依頼内容/症状:時を刻まなくなった。

菱形にMCのロゴがあるから、戦前の金型。

半打ちがあるし、昭和初期かなと推測。f:id:A2laboratory:20220918095901j:image

ホゾ穴の摩耗が激しい割に給油はされているし修理履歴が多い。

給油してはならないとされている場所も給油してあり、時計屋の仕事では無さそう。

摩耗クズやホコリがホゾに出ている、付着している場合に、給油して無理矢理動かそうとするのは、おろし金の上に油を塗って、滑りを良くして、大根を擦っているのと同じで、どの道、大根おろしは完成してしまう。

目立てしていない卸金(?らしき板)に、幾ら大根を擦ったとて、大根おろしは出来ない様に、機械は目立てされた卸金では問題があるのは言うまでも無い。

円滑に且つ無給油で具合が良くなくてはならないから、削れるという負荷は無い方が良い。

給油しないと動かない様な状態では損失が大き過ぎる。

車のエンジンオイルを思い浮かべて頂きたい。

あれは定期的にある程度走ったのならば、交換するか、濾過をやるが、それはエンジンオイルで機械の摩耗を防ぐ為に入っているが、接触面があれば摩耗が無くなる事はないから、次第に削れてくる。

その削れた僅かのクズが接触面へ入ると、卸金の役割をするから、オイル交換をするのである。

手入れを怠っている車は車検が通らない(?)と思うが、早い段階で壊したいのであれば、其の儘に使っていれば、あっという間にガタが出て燃費が悪くなる筈である。

時計も同じく動くから良いやと使っているとガタになって伝達が悪化して止まり易くなる。

時計然り機械全般には車検の様な規定はないが、車と同じ考えをもっていた方が良い。

 

半円タガネではなく、目打ちの様な棒で詰めた痕跡があり、そもそも、これで詰められたのか疑問。ちょっと叩きましたというレベルな気がするが、更に摩耗したのだろうか。分からないが、叩いた方向に摩耗は進んでいない。

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5番車、ガンギのホゾ穴も詰めてあるが、その向きで詰めて良いのか?

回転方向に対して外側へ詰めるのは失敗ではなかろうか。4番車との接触が遠ざかってしまうのではないかと思う節がある。

現に書き込んだ通りの向きにガタが出ていて、詰めた方向へはガタは無い。

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確認。
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状態はかなり悪い。

手で押しても円滑どころか、ビクとも回らない。かなり押して一度回り出せば回るが、衝撃が無いと動き出さない。

逆転は程々回り易いから、逆転時に来るホゾ位置に戻す必要がある。

タガネで叩いて矯正する。

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少しづつ裏表叩いて詰めた。

軽く回る。
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惰性で暫し回り続けるから良好。

洗って仕上げて組み立てる。

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洗い油をひっくり返して床の清掃にもなったりで、厄介事を増やして1日仕事になってしまった。

摩耗軽減に給油をしてやって完成。

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組み立てながら気付いた。占領国時代の製造だった。GHQマッカーサーが居た時の製造。

明治時計会社は工場が焼けずに済んだ事もあるし、戦後一番早い仕事をした事と思う。

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箱に入れて最終調整。

機械バランスとケースバランスを見て試運転。