A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

不明のロングオクタゴン

無記名のロングオクタゴンをなんとなく買ってみた(笑)壊れているという事だから、そそられたのかも知れない(笑)
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届いた時には振り子室がバラバラに破損してきたから箱の修繕からになった。まぁまぁ安いし文句は言わない(^^;;

糊も薄く、あまり良い作りではない様な雰囲気で、蝶番も斜めにネジ止めして、無理矢理付けた具合であったから、無理な負荷が掛かってバラけ易くなっていたかな。

頭の八角部分は釘打ちされているから壊れなかったが、振り子室の部分はただ貼り合わせらしい。

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戸のツマミがハートになっている所を見ると、ハートエッチ精工所の様にも思うが、詳細は分からない。

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文字盤はリダンだと思ったが、端の捲れる所を僅か剥がしてみても下には何もなかった。

オリジナルなのか?分からないが、大正15年以前の物には見えない。

国内では大正15年辺りを境にギリシャ数字からアラビア数字の移り変わり時期だが、以降もリダンでギリシャ数字へするパターンと、逆に古い物をアラビア数字へするパターンとがあるのを見た事がある。

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機械はかなり疲れている。

緑の油がくれてあるが、固まっている。結構量くれてある。

更に、赤と黒の缶の潤滑スプレーのニオイがする。嫌なやつだ。

シューとやって、古い油を溶かして、一時期は動いていたであろうが、すぐに揮発して粘りが戻ったのであろう。こういうパターンは最悪な状態か…

潤滑しなければ動かない=根本に問題あり。潤滑で誤魔化そうとするのが問題である。
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歯も大分痩せてしまっている。f:id:A2laboratory:20220305111352j:image

古い油が固まって、上からスプレーして溶け流れたと思われる。

バイクのチェーンにスプレーしたら、グリスが洗い流されて、焼き付き破断する原因で非常に危険であるから、アレは錆落としと洗いだけに使って、拭取り仕上げて、グリスアップか、最終仕上げをしなければ使ってはならない。最後の工程をすっ飛ばして使うから機械が早く痛む原因である。

自転車にもあれは洗う用途で使うべきで、ベアリングへは分解しないとグリスが入らなくなるから、吹きかけてはならない。

時計もミシンも同様に、早く揮発する油(?)をくれてはならない。油というか、灯油だと思う。

とにかく両者精密具合は同じであるから、ガタにさせたら精度が悪くなる。もしくは縫えなくなる。

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ゼンマイもサビなのか、古い油なのか、色が凄い。錆びていれば切れるかと思ったが、大丈夫そうだ。
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良い具合に錆落とし剤が効いて綺麗になった(笑)

洗い剤としては良好の結果になっていた。
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拭いただけでは、ニオイが残っていたから、洗い油で更に洗って乾燥させ油引きした。

揮発を促す物が残っていると油引きしても動いてしまって、ムラになるとタチ悪い。

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大きくガタがあるから、タガネで矯正してやる。

動かなくなった原因は油が粘ってトルク伝達が悪化したという事もあるであろうが、チリが研磨剤となって摩耗で真ズレして、真っ当な線を歯が通らなくなって動かなくなった可能性も考えられる。
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ガンギもガタを矯正してやり、アンクルギャップを再調整する必要が出た。

それだけ以前は遊んでいた可能性があるから、精度不良であった可能性はかなり高い。

ただただ動けば良いという、インテリアだったのかも分からないが勿体ない。

これにて機械整備は終い。

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裏を良く見たら、ハンコが薄らある事に気付いた。

良く見えないが、大字で昭和10年12月22日とある様である。
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愛媛県 喜多郡 新谷町の、安?商店 時計部が作ったのか売ったのか良く分からないが、機械にも表記は無かったし、振り子室の貼り紙も無記載、文字盤も真っさら。OH歴も不明。

古い在庫を安く集めて組み立てたのかも知れないし、色々考えられるが、そういう類は結構ありそうだ。

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売れもしない(笑)のに買い込んじゃって、試運転に掛けられる場所が無くなっちゃったから、増量釘打ちした。

数えたら58台だった。

以前は100近くあって未OHの物やらガラになってる様なのは物置に積み重ねていた時期もあったから、それよりか少なくなってる(笑)

結構大きいのが早いうちに売れていた感じがある。小さいのは巷にガラクタ含めて安いのが多いからOHしても売れ難い。

変形だったり、変わりモノは高値が付くが、そういう類は入手が簡単ではない。かなり酷いガラクタ状態でも足元見て高く売り付けたがる。まぁ致し方ない。が、仕事でもないし、趣味の独学だから楽しめたら良いか(笑)

 

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そういえば先日、英国の古本屋へ頼んでいた、セストーマスの総合カタログが届いた。

昨今の物流具合もあるし、舶来品らしい待ち期間であったが、それもまた良い具合である。

ただポンドは結構高い(ーー;)

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機械デザインの古くは個性的で良い。

精工舎の博物館でカタログを見せてもらった事があるが、それより濃いデザインで面白い。

我國へ入ってきた時代が違うから、既に後期のデザインで、合理的な製造方法が取り入れられているから、機械美、デザイン美という事は見えない部分は簡略化してある。
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手持ちのものは1910年の製品が殆どだった。

ただ当時価格$375.00-とあるから、当時$1=2圓位かな。

今の貨幣価値で1圓=300円位らしいから、225,000円位の代物か。

高価だわなぁ(^ω^;;)