A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Super Nipper Victor PRE-1

廉価品と思われし、国産ビクター、ポータブル ラジオ エレクトローラがドック入り。

電源入りません、回りません。壊れています。

という状態。

ACケーブルはボロボロで心線剥き出しなので即交換。

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Victorと言えども、これはあまりスコブル凄い音が出るとは思えないが、聞いてみたいというオーダーなので、安く動かす所迄とりあえずやってみる。
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筐体はポータブル蓄音器よりも小さい。
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4球で一応IFも入っていて、スーパー。

スーパーニッパーの意味は、多分スーパーヘテロダインから来ているモノと思われし。
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P.Uはクリスタルであるが、信号が出ない。

分解すると、引き出し線が腐食で切れていた。

根本から確認すると信号が発生しているから、とりあえずオリジナルを再利用可能な様である。
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クリスタルと書いたが、圧電型。

ロッシェル塩ではない。

箔は多分銅。メッキの掛かっていない部分が真っ黒になって破断している感じである。
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鋳物は触るとバリバリと粉になりそうな具合。

ソリもあって、あまり良い状態ではないが、まずまず戻った。
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トランスレスのセットであるから、〜100をダイレクトにセレンで受けている。

セレンは不良レベルであるから、シリコンに交換する。
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モーターは電源を入れて回らない所か、全くシャフトがカチカチになって動かなかった。

長年使わずに置かれて、石油成分が抜けて固着している。

これはゆっくり時間を掛けて回る様にして。

アイドラは少し内側は柔らかいから、外面を削いで研磨しておいた。

モーターコイルは断線なし。

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高圧だけかからない様にして通電試験。

フィラメントは問題ない。

モーターも良好。
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ペーパーと箱型のケミカル(?)は総交換。

チタコンも大丈夫そうである。

抵抗はズレていなかったから、其の儘で。

ラジオは受信する事を確認。

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次にP.Uを戻して確認。


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録音盤とスピーカーが向き合わせになるし、P.Uの横が音口であるから、ガンガンと響いて、大きい音では溝飛びが激しい。

モーター直に等しく、フライホイルとなるプラッタは5インチ弱と小さく、更にあまり重くないから、ワウも大きい。

 

 


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オートストップも効いているが、ハムは程々あるし、ラジオにコストを割いたのか、レコードに割いたのか、それとも半々にしたのか、どっちもどっちで、どちらも最良とは思い難いが、歴史的、時代の進歩の過程の1品として、今に動かしてみる、聞いてみて確認出来るだけでも価値があるかも知れないし、無いかも知れないが、ここ迄コンパクトに仕上げたのは凄いと思わないとならない事なのかも知れない。当時としては。

やはり実用的な物というよりかは、歴史を語る上での、見本品と言った所であろうか。

本機に大きい電蓄の良さを求めるのはナンセンスであろう。