修理依頼品。
ゼニスの電蓄ラジオで、家具調の大型コンソールであるが、筐体は大き過ぎて家に入らないから、プレーヤーとレシーバーセットだけを抜き出して、ドック入りした。
FMはあわよくば入れば良いという事で、動かなくても良いという事である。
1946年のセットで、プレーヤーはどうやら選べた(?)様子で、78 SP再生だけのが一番下位の様で、LP 33の速度と、緑コブラのある物が上位の様である。
もしかすると、初期と後期でも違うのかも知れない。
今回の物は、78rpmチェンジャーのみになっている。
ゼニス特有の、最後の盤が演奏終えても、自動で停止する機構はない。
従って、最後の1枚は永遠ループになる。
更に12インチ検知は落ちた時にしかしないから、12インチの盤が演奏が終わると、10インチとして途中から演奏が始まるという事に。
まぁまぁ、大らかな時代とも言えそう。
停止は、アームを手で引き戻して、スイッチをOFFにする。
レコードしか使わないのであれば、セット側の電源をブツ切りでも良いが、やはりアームは手で戻す手間がある。
自身も1台、コブラマチックは所有しているが、こんなにもスピンドルが曲がっちゃいない。
面白いカーブである。
落ち方面白い pic.twitter.com/72z4nu9heq
— A2Laboratory ぼやき部門 (@a2laboratoire) 2023年3月17日
こんな様に、12インチはジワリと落ちてきて面白い動きである。
裏面。
鎖で自動機構が一周する様になっている。
演奏が始まると自動機構は一切の絶縁状態になる。
雑音対策は優れている。
通電してみるとモーターは回った。
アイドラが滑って、やり方を考えていると、白煙とバチンと派手な音がした。
スイッチのスパークキラーに入っていたマイカドンが破裂した。
絶縁不良だったらしい。
マイカモールドとあるから、マイカドンである事は間違えないと思っていたが…
折角口を割ったから、調べると、オイルペーパーではないか。
マイカなんて使っていなかった。
MICAMOLD RADIO CORP。社名なのだな(^ω^;;)
WEのマイカっぽい四角いのも、実は分解してみるとペーパー。
そういうのは良くある事。
アイドラはこの時代では一般的だったかも知れないが、常に接触した儘なのである。
であるから、何年も使っていないと、接触面がゴドンゴドンとコゴツキが出る。
当時は交換すれば良いじゃないか。多分そういう考えだったかと思う。
今では手に入らないから、削いで綺麗にしてやる。
これでまた使える様になった。
プレーヤー部は給油とで動きは良いから、アンプ部に移る。
ブロックケミコンにXマークがある。
6V6がTENだったり、手直しされている。
IFTの1個が、アルミケースが無く、コイルが剥き出し。
FMは受信できない可能性が高そうである。
ケミカルが交換、カップリングがNCCだったり、三菱だったり、かなり古い物もあるし、ケミカルは割と近年だったり、色々やっている様であるが、NCCも三菱もオイルペーパーは絶縁不良で温まる。
交換する。
ブロックケミコンも怪しいから、チューブラに交換。
AMは受信出来たが、FMはやはり発振も止まるし、具合が悪い。
そもそも、OLD 42mc-48mc、 New 88mc-108mcと、国内放送の域としては、高い方のワイドFMが僅か入るか程度であるから、これは難題かな。
周波数が下がる様にも何とも出来るか分からない。
とりあえずはFMでも発振する様にはなったが、AMよりもかなり小さく、受信は確認出来ず。
AMはかなり感度が良く、ループアンテナの向きをアレコレすれば可変が可能で、これにてラジオは良しとするかなと。
プレーヤーと繋いで、音出ししてみる。
ゼニスコブラは、専用カートリッジで、Radionic PhonoCartridgeというそう。
2.5mcの高周波バイアスをP.Uへ印加し、AM変調で信号を取り出す。
従って、カートリッジはコイルと鉄片しかない単純な物である。
MCやMMのアンプに繋いでも音は出ない。
ゼニス独自の規格である。
キャプスタンは60c/sで78rpmになっているから、50c/sで78rpmが出る様に再加工。
今迄分解して得た昔のやり方を模して+20%になる様にする。
Radionic P.U Test
— A2Laboratory ぼやき部門 (@a2laboratoire) 2023年3月19日
20%遅い pic.twitter.com/DGEOEhTLRS
Japanise PopularみたいなCCCP盤 pic.twitter.com/mUqVxGLJ9n
— A2Laboratory ぼやき部門 (@a2laboratoire) 2023年3月19日
ТИХАЯ ВОДА pic.twitter.com/ww4A0VK7SL
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50c/sで78rpm出る様にキャプスタン加工。
— A2Laboratory ぼやき部門 (@a2laboratoire) 2023年3月19日
英國空軍カッコイイ pic.twitter.com/ErZAdRYAsX
ボリューム最大でもあまり大きい音が出ないから、6V6が弱っているのかなと思ったが、エミッションは良好。
音量の回路が普通一般とはかなりかけ離れて複雑な構成の回路で、ボリューム手前でNFBを引き込んでいて、尚且つトーンコントロール兼用とした、珍しい様式。
トーン切り替えでoffにも出来、不帰還しない方が音は大きい。
能率の高いユニットを使う事が前提なのか、それとも、そもそもユニットの上にプレーヤーが位置するから、共振防止に最大音量でも6V6をフルスイングさせない設計?
ちょっと分からないが、AM変調でAFを取り出すのにIF段を通っているからRadionicというだけあって普通でない。
普通は発振を嫌がるAFに、発振を上手く利用した凝らした設計である。
発振周波数は2.5mc出ていて正規値であった。
カートリッジ。
手直しが入っているがチップ共に問題は無いだろう。
赤コブラ、なかなかカワイイ顔をしている(笑)
オートの落とす部分はコブラの腹を意識しているのか中央がシマシマ(笑)
面白いデザインである。
センタースピンドルはグルリと回せる事を発見。
マニュアルで使う時か、レコード取り出し時には便利そうである。
キャビネットに戻して、良し悪し確認する事にする。