A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Kienzle 修理依頼品

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電話で、こんなデザインで…“生”みたいなマークがあります…という事だった。

ボンボンが見えるという事だったから、普通の国産の物でかと推測したが、封を解く前に、ドイツっぽいボンボンの音がしたから、国産じゃない事は間違えないと確信。

案の定の舶来品の顔だった。

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確かに“生”と書いてある様なロゴ。

見た事がない。

後で機械を見てみる。

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ケースは接着剥がれで外れる。

頭飾りはビスケットが無いから、作る事にする。

 

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なるほど。ドイツ キンツレである。
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ダイアル琺瑯ではなく真鍮の様である。

ワッシャ代わりに、デスククロック、所謂目覚まし時計の紙ダイアルを切り抜き使っていたらしい。

ドイツも結構こういう所、ケチって使う事がある様だ。

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機械は量産型に入った頃のであるし、数取が最新型であるから、1920-1930年辺りではないかなと推測。

時報側はゼンマイが一杯一杯に巻かれてあり、もう巻けない状態。

時計側はゼンマイが掛からないし、コハゼも掛かっておらず、どちらにも回せるという状態。

バネ性が悪いのは、素材自体がよろしく無い。

世界恐慌期の物の可能性?
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本剣車のホゾ側ピン歯がない。

恐らく巻き過ぎで、ピンが折れた物と思われる。
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2番車、3番車のピン歯も曲がっていて、相当な力が加わった事と推測。
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2番車はピン歯所ではなく、シャフト自体が曲がっているという、見た事ない状態。

かなり状態は悪いが、どうにか元へ戻そう。
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回すとこんな具合。

恐ろしく偏心している。
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本剣車のピン歯は似たので入れ直し。

色が違うのと、.1大きい。

かなりピッタリ。
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2番の曲がりは少しづつ叩き戻した。

ピン歯曲がりも直し。
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機械はOHに出してから、殆ど使う事なくダメになったのかなという位に綺麗だった。

少し濁った程度。
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噛み合いチェックをして曲がりが直っているか確認。
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組み立て試験。
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問題ないから仕上げ。

ゼンマイは1度破断したらしく、手直しが入っていた。開け直し。

今回は盛大に外れだけで、切れてはいなかったから、まだやり易い。

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機械はこれで試運転させる。

 

次はケースを直していく