A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

金属疲労

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ボンボンが鳴らない、00時付近で止まる。という事でドック入り。

バラしながら思い出して、これは以前にも同じ症状が出ていて、やはり手直ししている。

MC 明治時計の製造である。
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開腹
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原因のレリーズである。

4番車を止める設計であるが、1ヶ月巻きという事もあって、非常にトルクが強い。

その割に風切車は小さく、ガバナーも付いていないから、割とボンボンの間隔は狭く速い。

明治の高級型は風切車にガバナー附だった。

精工舎も同じく風切車の代わりに小さい2玉のガバナーになっている。

そんな様で、停止時、ボスに接触するレリーズの衝撃はかなり大きく、次第に曲がってしまう。

最終的には、ボスの頭にレリーズが乗っかる形で噛み込んで、全く動かなくなる。

同時に時報のレリーズが上がってくると、自己停止レリーズが持ち上がらず、トルクが相殺されて止まる。負のスパイラルに入り込む。

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曲がった部分は2、3度曲げ直しをした様な気がする。

1年かおきの様な気もするが、前回は割と近々だった様な。

金属疲労でもう折れても不思議ではない程に柔らかくなっているから補強をする。
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接合面が多くなったから曲がる事は無いだろう。

しかしながら、1ヶ月動かすのにトルクが必要な事は分かるが、レリーズには高負荷であるから、今回は給油の種類を変えて、稠度の低いものにして回転を鈍らせてやった。

1ヶ月はギリギリ動くかな。時報側だけの事であるが。

重いとゼンマイが終盤の頃にトルクに対しての稠度で、重く止まるかも知れないがまぁまぁ大丈夫であろう。