A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

ハートエイチ 精工所

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ハートエイチ精工所の姫ダルマ。

精工舎のはボチボチ市場に出回るが、ハートエイチは珍しい様に思う。

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近年にOHに出されているが、止まってしまう様になったとの事で預かった。

機械は新しい様式のアンソニア式で、逆転に対応している。

機械にもハートエイチの刻印があるから、手は加わっていないらしい。

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以前の時計屋にて、ガンギとアンクルを交換しているとの事。

見ても交換しているのか分からないが、少し焼けた様に茶色く、他と色合いが違う。交換しているとすれば、精工舎の物かなと推測。
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給油はされているが、粘っていて動かない。

黒いクズが多量に出ている。
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でもってガンギ車は前後に遊びが大きくガタガタ。

寝かしているから、ストンと落ちる筈が、粘っていて落ちない。
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それでもって、上板のカシメが不良になっていて、これもガタガタ。GifがUPできるとは…(^ω^;;)

絶妙な具合で動いたり止まったりをする事は間違えないし、止まり易い原因でもあろう。

微妙な事だが、安定を保つのには不適。

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バラす。

時報の送り棒は確かに無かった。

曲げ回しを触って折れてしまったのか継いである。元は棒が付いていた事であろう。

給油はしてある所はしてあり、筒カナは給油不要であるが、これもバッチリ入っていた。時計屋の仕事とは思い難い。

2番車にも油が溜まっているが、真っ黒。

これは摩耗するから、致し方ない。
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4、50年OHをしておらず、蔵に寝ていたのとは異なるから、綺麗かと思った案外汚れていた。

3年OHという時計屋の案内は、昔は路面も舗装されていなかったし、ホコリっぽかったから、3年に1度のOH、分解掃除で機械は長持ちしますよ。という事であったが、こうなる様であれば、3年OHというのは、今でも通じる事なのかな…?

分からない。

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洗い、歯検査、仮組試験。

程々押して円滑に。

でもって、ガンギのガタガタを手直し、調整をして噛み合い確認。

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問題ない事を確認出来たら本組。

給油を済ませて機械均衡の調整を。
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調整…

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文字盤の蓋掛けの案内の曲げが無くされていて、開けるにも閉めるにも爪を立てなければならず手間で、元来の曲げを効かせて簡単に閉まる様にした。何故曲げを無くしたし(ーー;)

開ける時もやり易い。

振り子室の方は触られていない。
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これにて試運転。
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1週間以上動けば状態良い判断で良いだろう。