A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Victor RCA ピックアップ 修繕

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先日のお客さんのJRE-33の電蓄のラジオ部分、フォノモーターと修理して行って、最終はピックアップ。

ダンパーが硬く劣化して豊かな音がしない。

マグネットは修理に持ち帰る都合上、外した。
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ダンパーは面白い構造で、4点(?)の様な感じ。

鉄針であるし、多分引き込まれる事を考えての構造であろうと思われる。

振幅の回転方向へは薄いゴムダンパーが貼ってあった様だ。

マグネチックのセンターを出すのには、ピアノ線の様な硬い針金で、半ば強制的にセンターを出す仕様。

もう片側は薄黄色い半透明のゴムの様な板に繋がっている。

柔軟性もあり、面白い素材である。多分ゴムじゃない。

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試しにダンパーになりそうなシリコンを通してみた。

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しかし厚みがあり過ぎて挟めないから、これは不作。

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どれが良いかなと色々考えて、腕時計の防水パッキンが一番薄さと言い、大きさと言い、最適であったから、これで干渉せずに機械センターが出せる。

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裏の柔軟性のある樹脂(?)は結局何だか分からないが、接着は温めれば良く、すぐに接着できる。ウレタンか?

煙のニオイは樹脂っぽい。
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本体へ組み込み。

コイルは触っているうちに外れたから、振動子に干渉しない事を確認して接着した。

現状では音出し確認は出来ないが、クリアランスもしっかり取っているし、触って左右に振る感じからしても、問題はなさそうだ。

各部が共振するかは試してみないと分からない。

次回訪問時にマグネットを組み立てて鳴らして良し悪しを最終確認する。

 

電気蓄音器、電蓄と言えば、安物であればクリスタルのロッシェル塩か圧電のP.Uであるが、これはマグネチックタイプで、尚且つ低出力型で、キャビネットに10Ω:40k(DCR)の、所謂MCトランスの様な物があり、それを通さなければ鳴らない。

以前に修理したコロンビアのP.Uは高出力型マグネチックで、これはダイレクトにラジオのP.U端子に入れれば鳴らせるレベルであったが、超極細のコイルが多量に巻いてあった。

RCA Victorは、案外太い線で、電流送りを選んでいる。

トランス分がコストが嵩みそうである。

 

巷ではコブラアームと呼んでいる様だが、コブラと言えば、ゼニスコブラしか私はピンと来ない。