A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

EG-37

EG-37のEGは、Electoric Grafonolaの意味だろうなと。

Viva-tonalになってから、録音が電氣録音の上、トレースノイズが少ないディスクである。というのが売り(エンベロープに書いてあった)だから、鉄針で聞くよりか、クリスタルの方がまだまだ持続的な様な気はするけれども、この当時はまだクリスタルやらダイヤモンドチップなりが高価だったかな。

無かったという事はないのではないかなと思う次第。

そもそも、この本機の価格帯がどれ程の代物なのかもよく分からないが、当時はマグネチック(バリレラ)が程々安価な物になっていた時代なのかも知れない。

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アンプ部はコンデンサの交換だけで、L型抵抗は問題ない。

これで試聴すると酷く詰まった音で歪んでいて低域が出ない。

P.Uのダンパーが腐っていても当然の時間経過であるから手入れする。

蓋を開けると既に手を入れてあって、引き出し線を切ってしまったらしい。

正常時、ギャップの中央に振動子がなくてはならないが、磁力で片側へペタリとくっ付いている。

どうやら中央に寄せておく保持ダンパーも外れている様である。

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名刺か、本の切れ端かが絶縁紙代わりに入っていた。

北海道開拓…とあるし、50c/sでセットされている事からしても、関東圏にあった品物らしい。

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分解する。

生ゴムのダンパーは柔らかさを失い、カチカチに。
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保持ダンパーはハンダが綺麗に外れていた。

ハンダも割れるから、なんでも再ハンダはやって悪い事はない。

調整部を温めると、再調整が必要になるから、この辺りは、何でもかんでもやれば良いという訳にはいかないから、どの様なハンダ付けなのかを見極める必要がある。

ペーパーコンデンサの場合は、温め過ぎると絶縁紙とがクシャクシャになって壊れるから要注意である。

特に博物館に納める様な類の代物は、全てがオリジナルである事が必要であるから、壊すに壊せない。

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調整しながら元へ戻す。
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マグネットの上でハンダを溶かした様な跡があって、磁力が落ちている可能性があるが、力はあるからまだ大丈夫かな。

本当は再着磁をしたい所。
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ロレットのツマミはオリジナルの様であるが、カマボコのに交換したらしい。

500kAが付いているが、P.Uは案外低いし、500kでは大き過ぎる印象はあるし、ここで調整すると周波数特性が撓んであまり良くないから、100kに交換。

これがロレットだから、ピッタリくる。

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仕上がりに近いから、本体の清掃をしたら、中から断片が出てきた。

支店長…何処の店だろ。

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ググっても分からない。


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昭和27-8年辺りのラジオにも付いているらしい。

DS-51であるから5吋らしいが…コーン紙は結構小さい様な気が(^^;;

フレームは5吋かも知れないが。

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入っていた球は80BKを除く2本はナショナル。

部品もナショナルが入っているし、ナショナルから部品は譲って貰っていた事と思う。

 

 

このサイズでオリジナルはどの様な音が出ていたのか分からないが、アンプ部分は触ってあって、時定数が変えてある様で、かなりカンカンしていて、小さいラッパ拡声器の様な具合で、蓄音器の方がまだ良い感じ。

そんなで、ハイコンプをもう少し掛けて、聞き易く低域を出す様にした。

蓋を閉めると空気穴がバレレフになるから、まずまず低域が豊かになって。

蓄音器よりも豊かな低域は出る様になった。電蓄の意味が暫し出て来た感じである。

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オートストップの具合が悪くなったから、再調整。

ひっくり返した時に重力頼りのストッパーが、手入れ時に逆さになると爪が曲がってしまう事に気付く。

アームが停止の定位置でストッパーと干渉しない場所にない状態で運搬される事はないが、それをやられると最後迄演奏出来なくなる不具合が出る様になる。
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元々サウンドボックスのキャッチャーだったと思うが、ここでは電燈線キャッチャーかな。

再利用であろう。

あとは電源プラグをどうするか。

考える

 

 

ps:

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譲ってもらったプラグセットがピッタリ。

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これにて完成。