A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Leon Hatot. ATO 屋井乾電池

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Junk4台を仕入れた。

フランスATOのトーマスタイプ(電池掛け)f:id:A2laboratory:20220921154747j:image

中には屋井先蔵の乾式電池が入っていた。

戦前である事は間違えなさそう。

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中央の木の棒に繋がる電極が陽極、横の真鍮丸棒が陰極。

表記は無いが1.5Vと思われる。

頭の部分はコールタールで封がしてある。

中には何が入っているのか分からないが、水が出たのか錆びが出ている。アルカリかな。

割りかしズッシリと重い。単一2個分位はありそう。
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“乾電池界之元祖”良い謳い文句だ。今もそういうのが有っても良さそうだが。

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機械は前のと同じ運針ユニットであるが、振り子のスイッチング方式が異なり、変わったスイッチになっていて、片振りさせた時のアンバランスを修正するガイドを接点として使っていた。

僅かの振動で起動する。

振り子自体のアンバランスは関係がなく、行って帰ってきた時に接触面の平均が出る。

振り子長は60mmと、かなり短いから、ちょこちょことかなり速い振りである。

更に振りベラは使用せずに、2点の輪っかで吊るすスタイルであるから、ある程度の傾き(depth)は無視出来る。

試しに現状の儘で電池を繋いでやったが継続して動作せず不良で、指針が行ったり来たりを繰り返す時や、送りミスが起きている。

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コイルはDCR3.27kあり、破れた化粧紙の合間から、ホルマル線と思われし細い線が多量に巻いてあるのが確認出来た。

1.5V電池であると約460μAがコイルに流れる。

1分間を約116回振動(1往復1回運針)しているから、1時間にして6960位の往復する事になる。

 

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機械と接触子は調整して接点を軽く拭って単3の充電池で試験し持続する事を確認。

試しに屋井電池の端子を測ると1.3V出ていたから、まさかまさか、動くのかと思ったが、コイルがONになった途端に300mVにドロップして継続して動く事は無かったが、電池としては数mAも取れないが、発電は持続している事は確認出来た。

昔に古い電池は水を注射器でちょっと入れて湿らすと復活すると聞いた事がある。

それでもダメなら塩水。

コールタールは割れているし、中の素子が見えている様な見えていない様な具合だから、間から少し水をくれたら電流が取れる様になるのかも分からない。

どちらにしても飾りであるが、幾つかあるから実験してみる。

 

手っ取り早く、試しに充電してみたが変化が無かったから、電圧を高く、10Vを印加して暫くすると1.5V迄上がったが、テスターで見ているだけで1mVずつ落ちるから、効率は悪いが、充電されるのかも分からないが、充電池ではないから、宜しくない可能性がある。

 

試しにシリースに2つを繋いで2.6Vが確認出来たが、やはり振り子を引っ張るだけの力は得られず。

ただ、ONになっても1.2Vは維持していたが、ダメらしい。

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ケースがバラけていたが、接着、圧着して直した。

指針止めの極細ピンとバネ皿が紛失していたが、これは仮止めで単線の細いやつで巻いている。後で体裁良いのを作る。

 

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数時間動いたが、その後2時間程づつで止まるから、再度バラして様子見。

指針止めは虫ピンの一番細いものが具合良く刺さった。切り詰めて使う事にする。

バネ皿はワッシャーで作る。

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動かなくなるのは接点である事は間違えない。

接触子の相手側には鉄の似た様な棒が挿さっているが、これは摩耗しておらず、接触子だけが磨耗している。

良く観察すると、どうやら接点の丸棒は金無垢。

柔らかい素材で且つ、光沢があり、真鍮よりも赤い。1箇所だけ明らかに色が違う。

フランス製であるし、金無垢を使っていても不思議ではないが、磨耗に対しては弱い素材であるが、接触率は良い。

どちらを取るか考えたであろうが、これがまた交換出来る様にネジ止めになっている事から推測して、摩耗したら接触子を交換して対応していたのではないかと推測。

細くなった部分に触ると呆気なく折れてしまったが、その断面は間違えなく無垢。

上の方を接触していたから、残った部分で接触する様に調整して動く事を確認。

オシロ接触率を確認して、ジャリつくが、動作は継続しているし、大振りにも次第になるから、具合は良さそうだ。

次にダメになったら、トランジスタとコイルを追加して無接点方式に変えた方が良いかも知れない。これにすれば、かなりの耐久性になる。

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仕上げ。

振り子調整ネジが一番上迄上がっているのは、誰かが不適当に回したのかな?

様子見する。