A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

不思議な故障

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客先さん宅にて修理。

全段トランス結合のアンプだそうだが、初段側はトランスは付いているものの、CR結合になっていて、調べるとトランスの1つが切れたからCR結合にした様だ。

以前にこの電源ユニットの電解コンデンサがパンクした為に修理している。Junkに近い中古品を数十万と出して買われた様だけれども、高級な物は、高級な修理代が付き物だから、前オーナーはそこまでの修理はせずに放出したと思われる。

要は生活レベルが品物に対して追い付かなくなったもものと思われる。

このJunkに20万以上出したのならば、新規製作した方がかなり無難だったと思うし、修理をして更にコストを掛けているから、かなり無駄遣いになっている様な気はする。

上手いこと説明文に釣られて買ってしまった事と思う。

大凡、素晴らしいだの、凄いだのという説明文は売る為の謳い文句で、その謳い文句を信じて凄いと思いたいというカルト的に思う。

自身の感想を優先させるべき。中古品を買うならば、説明よりも状態が良い事を写真から判別して、素人ウケしそうな謳い文句は、そんなに良い状態でない可能性が高い。

逆に説明が無いくらいの、倉庫から出てきました。Junkです。などという物の方が余程壊されていなくて良い状態だったりする。

あとは目利きと運かも知れないが(^ω^;;)

 

断線していない側のトランスを調べると、1:1だった。結構巻いてありそうなDCRがあった。

推測するに、インピーダンスは2、30kはあるかも知れない。後で測定してみる。

内部はコールタールがバッチリ入っていて巻き直しは手間食うから安仕事なら断る事にする。

 

そもそも、なぜ修理を頼まれたのかという内訳は、右chの音が出たり出なかったりする。というもの。

確かに音は出なくなったりするが、かなり歪んで音は出ているが、ゲインが少し下がる。

ハイも落ちるから、ガサガサとした雰囲気。

フォノであってもAuxであっても変化が無く、ステレオリバースの影響もボリュームの影響も受けない。即ち、終段に近い部分で問題が起きているのには違いない。

症状は唐突に発生し、大きい音を鳴らすと良くなるという傾向がある。

従って、電圧が高くなるとレアショート也の部分がスパークなりを起こし、レアショートが解決しているのではないかと推測。

段間トランスには電流を流せないらしく、クラーフ接続になっているから、ここへもコンデンサが入っている。

そんな考察で、コンデンサの絶縁不良(レアショート)をまずは疑い、高圧時の問題だとすれば、低圧では問題は出ないのは言うまでも無く、試しに交換してみたが、暫くすると症状が現れた。

コンデンサではなかったらしい。

抵抗器の外装に傷があり、中身が僅かに顔を覗かした物も中にはあるが、抵抗値は問題なく、数値が動き回る可能性は低いと推測。

実際、各所の電圧を見ていても問題は現れなかった。

そうなってくると、初段の切れたトランスがある位であるから、中段、終段のトランスも相当怪しく思う。

トランスのレアショートである場合を考えて、次回はトランスを逆さに繋いで左右が入れ替わるか確認した方が良さそうだ。