前回は戦闘機へ使用する用途で作られたセラミック管を使った、オーバークオリティなフォノイコライザアンプを作って、抜群のS/N、MCヘッドアンプ要らずの特性であった。
もうこれ以上は、求むものが無い程の塩梅で、次作は駄作が作れない具合に迄至っていて、暫くフォノアンプは作っていなかったが、セラミック管、7077があるから、これでまた7625よりか最良のフォノEQを作ってみる。
7077は、宇宙船 パイオニア3号に実際に使用された物で、一般市販された物ではないから流通は無い。(7625も一般流通はないが)
極めてレアーな代物と言えるし、地上では強力なGが掛かるわけでも、振動も衝撃もある訳でもないから、寿命は極めて長い事であろう。
7077は1950年代の物で、歴史的には7625のが新しく、F14が1970年代である。
然し乍ら、7625はAF、オーディオ用途設計(オペレーターヘッドセットのマイクロフォン初段)であるのに対して、7077はAF用途設計ではなく、7.5Gc(ギガ サイクル)のRF用途で設計されたものである。
試験をしてみないとAF帯ではどの様に働くかが気になるが、AF帯でも満足な動作をしてくれると推測ながら思う。
大きい円盤が突起したグリッドは、放熱の為であろう。蓋をした様なプレートが特徴的で、金メッキが施されている。
確認すると20c/s-20kc迄整っていた。
1.8V迄入れて確認したが、大きくクリップはしなかったが、寝た特性の部分に触るか、上の波形がやや小さくなる。Ebb250にて、Rp100k、Ep146。
800mVが最良に整っているから、低出力P.Uに対してのフォノイコライザには適している。
旧型の500mV以上出るP.Uでは、入力ATTで小さくしてやった方が良いと思われるが、電蓄ではあるまい、今一般の100mV前後のMM、小出力のMCを直接入力で使うのが良かろう。
12AX7や6DJ8とは、その繊細度合いは格別なもので、MTの球は如何せん荒々しく雑味豊富であると思う事であろう。
小さい信号を綺麗に持ち上げたいのであれば、トランジスタかセラミック管かになりそうだ。
FETのフォノイコライザも試験用に持っているが、これもかなり互角なS/Nに思う。
筐体サイズと重さ、熱量には幾分負けるが、素直な音には聞こえるが、幾分面白くはない冷めた乾いた感じがする。
7077は良く見ると薄赤くなっている事に気付いて、ランプを断つと結構な明るさがあった。
これはまた7625よりか更に魅力的である。
iPhoneのイヤホン端子から信号を出したが、10mV程のノイズが出ている。
上が球のプレートを見ているが、X10でもボケていないから、高周波が出ているのであろうが、カットされている。
高周波的に言えば、効率が悪いか良くない回路構成。
低周波的に言うと具合良い可聴範囲外遮断になっていて、余計なノイズレベルが下がっている…
信号を入れても、充電を止めてもノイズに変化は無かった。
ある意味で綺麗になった波形が抽出できる。オーディオ用途であれば都合が良い。
言い換えると、ノイズが其の儘出てこない=忠実性に欠けるとも言える。
もっとレベルを低くした。
10mV入力に対して140mV出ているが、縁が少し粗くなっているから、ノイズも伝達されている事がわかる。
それよりも電燈線の電圧変動がB電源に影響を大きく与えていて、ラスタが上下に揺れる。
100W程の代物の接断でも100mVは揺れ動くから、電源の安定性を最良にしてやらないと超低域で暴れる事になる。
DDプレーヤーは低域の暴れが多いから低域はカットするのが一般的なのかも知れないが、リムドライブかベルトドライブならば、シャフトは太い良いのが入っている物もあるから、そういう代物に対しては低域のカットは必要なかろう。
その場合にアンプ側がフラフラしていては、結局DDを使っているのと同じ程では、良い物のレベルを引き下げる要因になる。
DDに不安定なアンプとの組み合わせは、ランブルフィルター、乃至サブソニックフィルターを入れなければ、ウーファーが暴れるであろう。
専ら、そこまで低い方が出る終段なのかにもよるが。
出ないのならば、フィルターは終段で自動的に常時掛かっているも同じだから、コントロールで添加する必要はないが、バイアスに余裕のない設計であると出ない低域暴れで、変調歪みを発生させるかも分からない。
兎にも角にも、総合的に一連のセットは共通のレベルで合わせた方が無難。
安価なセットの一部を一流品にするのは、逆に不釣合いで良い結果にならない可能性が高い。
それ以下にも変わらなければ良いが…