A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

時計屋日和

f:id:A2laboratory:20220211163946j:image

昨日の明治時計の分解掃除をする。

調べるとNo.803っぽい。昭和30年代の様である。

香箱入り…そう思っていたが、追い巻きが出来ない香箱らしい…

要は、ただのケースだった。なんだよ見せかけかぁ(ーー;)

f:id:A2laboratory:20220211163940j:image

文字盤を外すとやはり戦前の金型みたいだ。
f:id:A2laboratory:20220211163917j:image

菱形にMCとあり、釣り竿アンクルのタイプは昭和元年辺りのと同じ。

f:id:A2laboratory:20220211163933j:image

裏側。
f:id:A2laboratory:20220211163948j:image

上板を洗うにも、ゼンマイがケースに収まっていては、具合が悪いから出した。

蓄音器のゼンマイは太いから力があるが、時計のは苦労しない印象である。
f:id:A2laboratory:20220211163923j:image

結構お疲れの機体かと見受けられるが、ガタをチェックすると、そんなに広がっておらず、タガネで戻してあったから、時計屋に出している様だ。

まぁ40年は前かなぁ。この雰囲気であると。

上から少し油をくれた者が居る様であるが、早い内に私の所へ来たから、再度タガネで叩き戻す必要もまだない程度と診断。

f:id:A2laboratory:20220211163943j:image

洗い。
f:id:A2laboratory:20220211163925j:image

真鍮が結構な量削れている。

キラキラした白い点は板が削れて出た真鍮クズである。

割と多く削れていた様だ。この儘使い倒したら、タガネで叩いて戻すかであるが、偏心すると歯も減るから、廃棄に近い。恐らく精度は出ない。動くというだけに近くなる。

こうなってから、復活させるのはコストが掛かる。だから時計屋は言う。“これだったら新しいのを買ってもらった方が安くつきますよ”

 

自分の歯も磨き粉でゴシゴシと24時間ずっと磨き続けたら、いくら硬いといえど削れるから、神経が出て痛みを伴う程迄削ってしまえば、入れ歯しかないであろう。

歯科医曰く、入れ歯は自前の歯の人と比べて判断能力が劣ろうそうである。

機械も人も大凡同じだという事がよく分かる。

毎年の健康診断は行った方が良い。

内科曰く、バリウムやらはやらなくても、採血をやっておくと大凡深刻かの不良レベルが分かるそうである。

f:id:A2laboratory:20220211163935j:image

ゼンマイは拭いてみたが、既に拭かれていて綺麗だった。
f:id:A2laboratory:20220211163920j:image

腕時計のゼンマイはスポンジに滲みしたシリコーン油をポンポンやって香箱へ入れる。

蓄音器は再生中、ゼンマイが広がった時にガシャコンとやらない様に、グリスを塗りながら香箱へ入れたら、更に追いグリスをして、徹底的に安定する様にやるが、最近はグリスを拭いてしまう様で、再生中にガシャンとやって、針飛びを起こすヤベー手入れのクレデンザを見た事がある。スゲー値段が付いていたが、モーターの手入れ不良だから、その価値はケースかサウンドボックスかな。SP盤の溝がダメになるわな。オブジェの方が良い。

置き、掛け時計は、機械油を拭うやり方をやっていると思うが、ゴゴゴ…ガシャン、ガラガラと広がる機体は多いから、それもやっていないか?

案外不適当なのが多いのは致し方ない。

良い状態ならば、そういう異音はしないが。

ただ継ぎ合わせをしたりすると、そこが負荷になるから、ガラガラガシャンは致し方ないか。

大体、今時そんな機体が残っている方が希少な気はするが…切れる場所にも寄るが、継ぎ合わせをやる場合もあるけれども(笑)

f:id:A2laboratory:20220211163930j:image

乾燥させたら減りチェックをしながら拭いて組み立て。

腕時計の場合はドレッシングの工程が洗い、乾燥の後にあるが、シリコーンかの薄い膜張りと同じ事なのかな。

こういう内情はノウハウだから教えてくれないのが普通だ。

研究せねば。

f:id:A2laboratory:20220211163910j:image

組み上がり。

f:id:A2laboratory:20220211163928j:image

風切り車の具合を見つつ、ゼンマイの間にシリコーン油を追い染みしておいた。

ギッチリ巻いてみると掛かりの部分が結構な角度がつくから、8分目よりか前で止めておかないと、金属疲労で止めの部分が破断するかも分からない。

だから欧州のは、香箱を小さく、ゼンマイを多く入れて、巻かれても角度がつかない様にやっている。

これはある程度大きいし、ゼンマイも程々のが入っているから、巻かれると角度がつくのは致し方ない設計か。
f:id:A2laboratory:20220211163938j:image

まぁまぁ普通な機械だ。

国産的というか、アメリカ方式というか。

ドイツは各社似ている様で独特の金型でやっているから、都度新鮮な印象がある。

f:id:A2laboratory:20220211163912j:image

掛ける場所確保(^^;;

階段は暗い。いや全体に私宅は暗い(笑)
f:id:A2laboratory:20220211163915j:image

上下でMeijiが揃ったが、下は渦ボンで本打ではなかったと思う。

これは売ってくれと言われても、譲れないのであるが、動かしてもいないのであるが(^ω^;;)

親戚が戦後すぐの開業時に買った代物だとか。ただoccupiedの表記が無いから戦後すぐ説は微妙。モデルはNo.82っぽい。

それは置いといて、精度が如何程か試運転して良好であれば時期見て売りに出そう。