A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

パーマネント 再着磁

ダイナミック型は励磁をしてマグネットとするから、販売当時から磁気回路の衰退は起こらないから、コーンの紙の状態のみで、殆ど当時の品質を保てるという事であるが、パーマネントの場合は年々少しづつ抜ける。

アルニコは特に抜け易い。フェライトの方が抜け難いが、どちらにしても衰退し、温度が高くなるとより磁気抜けし易くなり、叩いても刺激を与えても抜ける。

ネオジウムはアルニコよりも温度に弱い様な雰囲気。

以前にハンダコテにくっ付いたネオジウム磁石が、数秒でコロッとコテから離れた事がある。

 

 

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HPD385を再着磁を頼んでから2年が経過したが、再着磁をしてもらった直後の磁力が強い時はかなり低域がドンドコ出て、所謂英国の小さい音で満足の行く特性の雰囲気があったが、暫くすると、安定期の域まで抜けたか、低域のドンドコ感は落ち着いて引っ込んだ感じがある。

ドンドコするものだから、ロールオフもハイ設定も、プラスの方へ倒して均衡を保つ様にしていたが、落ち着いて来ると、今度はハイがシャリシャリ気味になって来るから、0dB、Nomalの位置へ戻すと具合良い。

今後、もっと磁力が落ちて来ると、マイナスへ倒さないとならなくなるが、まぁ後10年は大丈夫であろう。

中高域から上は磁力が弱ってもあまり変化という変化は感じられなかった。

音圧は落ちていたかも知れないが、低域の抜け度合いは大きく分かる。

中古を買った時には既に、こんなに低域は出ていなくて、パワーをある程度掛けないと鳴らない様な印象があって、ロールオフもハイもマイナスへ幾分か倒して使っていたと記憶。

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巷の言われは、恐らく中古で磁気抜けした物を買った人が、低域が鳴り難い、中高域がキラキラしていると言い出したのか分からないが、バランス良く鳴るユニットであると感じている。

夏場、熱くなる倉庫や日の当たる場所へ置かれてしまうと磁気抜けは加速するから中古のパーマネントスピーカーを買う際には、この辺りも確認した方が良いであろう。

ヨークが外れて着磁機に掛かる物であれば再着磁を頼むのはアリと思われ。

当方は、広島のサウンドデンに頼んだ。

他より良心的な値段である。

着磁は僅か1秒も掛からないが、チャージと準備と手間暇考えれば、安いものだ。
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組み立て、ガスケット交換は自分で。
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NS-690は代わりで鳴らしていた。

フェライトであるが、これもおそらく磁気抜けしている。

再着磁するとボケ気味なウーファーの音圧が戻るかも知れないが、Mid、Highにアッテネータがあるから、何となくカバー出来る。

が、f特が云々レベルではなく、磁気抜けしているとその帯域を持ち上げても、それ以上に上がらないから、カバーしように出来ないという症状があれば、それは結構抜けている。

連続大出力で鳴らしていたりするPAスピーカーは、大きいマグネットが付いているが、この使い方でも磁気抜けは早く進む。

言ってみれば、交流の大電流で、消磁作用が働く訳である。

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Mid HighのダイアフラムのVCは数種類ある様で、シルバーのシルク巻きらしきコイルがこの中では古い様子。
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アーデンの交換用で売っていた頃のかな?

紫色の塗り。
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その後のタイプかな。

ホルマルっぽい色合い。
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オリジナルのダイアフラムは腐食で特定の音が入ると、ビビリが出てワニスでvcを固めたり色々やったが、結局ビビリは解消されず、交換して今は外してある。

何がどう共振して変な音がしているのか分からないが、何れトライしてみる事にしてみる。
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これはセンターコアがズレていて、ウーファーのvcタッチを起こすから、それを修繕した時の。

ヨークに対してパッキン1つで両側から挟み込んで潰して止まっているだけだから、パッキンが劣化するとセンターの支えが不十分になるから、ズレを起こす。
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Mid High側
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ウーファー
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英国の、“自分で手を加えて自分の物にしなさい”という習わし(?)は、達成出来ているかなと思っているし、勉強にもなっていると。