A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2C26 プッシュプル パワーアンプ

お客様から、所有の球を使って誂えを頼まれたアンプが完成間近になりました。

あとは入荷待ちのSWのみ。

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キャップはタイトの一般的に出回っているのだと、有り触れていて見せるモノとしては面白くないから、流通のないキャップを探して来た。

6D6のキャップはサイズが無くて仕方なくタイト。

全方位から堂々と球を見せるデザインは実は好みじゃないが、このサイズになれば、ミテクレもソコソコ、ボンネットも掛ける事が出来るから、網からチラ見せ程度にもなるから、自分に納得の行くデザインである。

小さい球を並べて堂々と見せるデザインはダサい。見せない方が格好良いと思っているからである。

私が使っているMTのアンプはボンネットを外して、球が見えるようになっているではないか。なんだ矛盾しているぞ、そう思うかも知れないが、それは接触不良で良い角度に球を保たないと使えないポンコツだからボンネットを掛けていないのである。修繕すれば良いが生憎カシまっているから、簡単な話ではない....し、自分のであるし、別段壊れていても使えるし、困らないし(笑)面倒なだけかも知れない(^^;;

網からチラチラ、ヒーターが灯っているのを見るか、送信機辺りの確認用の窓から見えるのが私の好きなデザインで、窓は額縁になって、絵として成立する。

まぁ、色々な事を言っても、見せる、見せたい球とイコールになる様な存在感のある球とを同乗させるのも、バランスが悪くなって、引き立てたい筈が、主役が多過ぎてスポットが全体に当たっていては、何が主か分からなくなって台無しであるから、この具合は感じるか感じないかの様な部分になって来て、他人には分からない芸術的な、自己満足の世界なのだろうと。

これに引き寄せられるかは、その人次第で。

芸術品か商品なのかの難しい境目もあるが、これは別の時に話す事としよう(^^;;

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今回は注文にキャップは外せる様にと頼まれているから、テスト端子で取り外しが効く様にしたが、繋いでみて驚いた。

まるで尋常の理科で電池を繋ぐ様な実験材程度の様な具合で、接触具合やバネの効きが非常に悪い。業務用機材には使えない。

大きさが全く異なるが、これなら標準バナナの方がより良い。

サイズ的に無理がそれではあるのであるから、小型のを選んだが...

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大方チェックし、逆さにして切り屑を振るい落として通電してみると、ノイズもハムもなく動作した。

NFBの量を固定である程度絞っていたが、絞らなくてもフルに戻しても問題無かった。

NFはVRによって、無帰還にもなるから、締まり強さが調整可能である。

B電圧は計算値よりも電圧が低く、ルート2*0.77計算が妥当だった様子。

0.8計算だと350Vタップで400Vが得られる予定だったが20V低かった。

定電圧放電管 VR150を出た後の電圧も低く、定電流特性もあまり良くない領域と思われたが、低域がドンと出て良い味がするが、濃い目であるからクラブ ハウス系が好きな方には、好かれそうだ。

ブーストで加速している訳ではなく、管の電子的な、電流、インピーダンスの特性変化で、強調が掛かった様に感じるものと思われ。

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回路を変更、設計通りの電圧になる様にした。

先程と変わりなくHiFiであるが、低域の締まりが効いて上昇を防ぐ。無負帰還状態でフラットに来ているし、緩さが減って50W級の多くNFBが掛かっているのと大差ない。

ピークで余裕のあるマージンは小さいものとは違ってアタックが率直で音圧がある様に感じる。

S/Nも然る事乍ら、入出力の忠実性が高いと、ソースの不自然さも、マスタリングの良さも率直になる。

所謂モニタ気質になってくるが、NFBを掛けないと球の個性が忠実になってくる。

球のクセ、個性は忠実度が低い場合には、それが音色となり分かり易くなるが、忠実性の善し悪しは設計次第で、個性はまた別。

忠実性がないというのは、エフェクターの様な物で、それ自体の音色になってアレンジされてしまうと言うのが、単純に分かり易い様に思う。

 

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煌々と光っているのはBヒューズ用である。

戦前の電蓄やらでは、良くあったスタイルである。

しばし通電しておくと、各部品のフォーミングが済んで安定になってくる。

また明日、各所の電圧を調べて特性を再度見る事とする。