A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

矩形波発振器

不思議な発振器と触れたが、構造を理解して行くと不思議でも何でもない、仕掛けのある矩形波発振器なんだなと理解が進んだ。

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発振が起きるという事は、出た信号が戻って来て、それが連続して起きることを言う。

従って、増幅作用がある為に起きる。

この発振を止めて、安定にしたのがオーディオ増幅器である。

眞空管なるものは、元は発振、送信、電波を送る事、受信する事を主とした目的の物で、オーディオアンプは底辺の、役目を終えた様に近い球でも良いというのが昔の考えだった。

だからRFでお役御免になった後は、AFで最後まで使う。UY-807なんかでも、送信機で時間交換したらAFで使う等々。

HiFiなんて言っていなかった頃は、そういう扱いだった。

だから、製造の基準も、発振が安定に起きる事が前提で、オーディオ用途は選別で外れた様な、レベルの低い物が回された。

SQ管、スーパークオリティ管というのは、工場などの信頼性が問われる部門で使われる為で、オーディオ用途には勿体無い程の高品質な物であって。

現在では、工場でも眞空管は用いられないし、そんなオーバークオリティの物は需要がない。

今一般市販の現行管は、当時の値段と同じか、少し高い程だが、60年前の800円は今の800円と物価が違うから、高価な物であった。

従って、今の現行管の値段は、当時の物と比較したら、嘘の様に安価なもので、当時の厳しい検査はしていないに近い。

ある意味でB級品でも何でも売っている様な物で。

だから、高いだの壊れ易いだのと言うのはお門違いなのである。

 

…まぁそれは置いといて(^^;;

発振を止めて、音声信号を入れられる様に変更した。

変更と言ってもループをさせなくしただけだ。
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12AT7は大凡5、60倍の利得があり、1を入れると5、60になって出てくるという事。

今回のカソード直結型では、100mVの信号を入れて、出てきたのは1Vだった。

すなわち、10倍の利得のアンプになっている。

特性を測ると、20c/sから20kc迄綺麗に揃っており、これは良い回路である。

高利得の不要なラインアンプに採用してみる。
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これを少し変化させると、マッキントッシュのC108になる。

これはカソードフォロアとして機能し、ゲインは前段で増幅され大きいかと思われる。

今回の場合は前段のカソードから信号を引き出している為に、利得は1以下の筈である。

要は信号は減衰しているが、電流は流せる様になる。

即ち、高インピーダンスで受けた物が、低インピーダンスへ変換されているのである。

でもって、このカソードへ入っている抵抗Rkによって、この間へ信号が現れる。

普通一般には、これがセルフNFBとして働くが、次段のカソードが共通になっているから、ここへ現る信号の大きさが、次段の入力になる。

潮の波でそこへ浮かんでいる船が上下する様に、信号が同期する。ミラーになる。

次段へ送る信号の大きさは、Rkで決まると思われるが、同時にバイアスの深さも決まるから、これの良い塩梅へ持って来るのが暫し手間かも分からない。

どんな球でも良いわけでは無い。

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信号の流れ、ループ。
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入出力を観測、6AU6は純5極管で、これは歪み易い傾向にある。

低域では位相のズレは確認できなかったが、1kcの越えてから少しづつ大きくなり、20kcでは暫しの歪みである。

歪みが無ければ、一直線になり、楕円にはならない。

円になってしまうと、90°のズレになる。

 

 

 

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古いオリジナルのオイルコンデンサに戻すと超低域の発振が止まったが、これが正常なのか、調べると、漏れ電圧が20v前後あって、やはり温まっているから、.22をパラって付けた。

これによって、再度超低域発振が動き出した。

サプレッサの電圧を可変させる事で、ゲインが変えられるから、信号のOn/Offをやっている事が分かった。

低い方の信号では、プー、プー、プーと、間欠動作になる仕様らしい。

どの様な使われ方をしていたのか迄は分からないが、面白い使い方である事は理解した。