A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2019/10/19

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あれから精工舎の置時計は、暫く動いていたが、止まる様になると少し動いてすぐに止まる症状が出て1分と動かなくなった。

静かにバラしてみると、上板を仰向けにすると止まり、下板を仰向けにすると動き出す。

テンプに負荷がまだある様であるから、テンプを完全に研磨してしまう事に。

ボール盤にチャックして石で先を尖らす。
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1度目。バラした状態でテンプがどれ程スムースに廻るか試験。

あまり蛇足で回り続けない、少々抵抗がある様子。

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2度目は多く研磨。

少々全体がシャープになってしまったが、上下共に同じ程に廻る様になったので良しとした。

組み直して少しゼンマイを巻いてみる。

振り勢いは良好、スムースに振動し始めた。

 

しかし今度はガンギとアンクルに不具合あり。

よく見ると、ガンギはホゾが段ちになっている様で、板とで遊びが大きかった事で、細く磨耗してしまった部分の時の具合は調子が良いが、段ちになっていない、正規と思われるホゾ径の方が迫ると、板のホゾ受けをタガネで叩かれ、窄めてあるが故に、どうやら干渉を起している様な気配がある。

しかし、非常にシビアな具合で、かなりタガネで叩き済みで、これが今度広げ過ぎになると、入れ歯をする他なくなるかも知れない。

ホゾ石ではないから、そんなに金額的にも張らないが、それでもかなり小さいから、要相談となりそうであるから、とりあえず、現状の儘にてどうにか調整する事とする。

もっぱら、ガンギ自体のホゾを作り直すか、痩せた部分を基準にして、全体を均一化するかという話になるが、精密旋盤もないし、前の会社にベンチレースはあったけど、バイトは適応の物を削って作らないとならなくなりそうである。それに、そんな小さいコレットあったかなぁ(汗)

 

アンクル側は、前も言っていた様に、対ガンギの爪が痩せている事、曲がりが生じている事等がある。

爪の摩耗は、石でも100年近く使えば摩耗するモノで、交換が普通であるが、どうにも持ち合わせなし。

こちらも板との遊びが大きく、かなりのガタがあり、遊んでいる事が判明。

この遊び調整は上板に切り込みがあり、幾らか調整が出来る様になっているから、これで行う。

ガンギとの接触バランスも此処で調整が可能である。

 

これらを調整した所、一連の動作に於いて、とりあえずは動作を持続させ、より安定した具合になるようにはなったが、ガンギのガタが、アンクルのエラーを引き起こす原因の様で、突如として振り止まりを起こす事がある。

”停止・蹴りだし・停止・蹴りだし”の極めて重要な部分であって、これが崩れて停止する事が無くなると、テンプは勢いを失うし、精度も劣る。

 

とりあえずは、様子見。