A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

F16-1000 回路修繕

先日のハム云々の話で、これだけ出来が良い機械なのに、増幅器を手抜きするとは思い難い。

時代が時代であるから、電気回路を手入れする。

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電源ユニットを外し、ケミコンのフォーミングをしてみるが、定格内でも20mA程電流が流れてしまい、定格一杯迄電圧を上げると200mA程流れた。

前節にて擬似的に主電源を入れてフォーミングをしたと言っても、数時間程度だから、完全なるフォーミングにはなっていない事が明らかで、電圧が少しでも上がると、電流がグンと流れる事になるから、宜しくない。

電圧は10V程度だから、そんなに発熱は大きく無いが僅か温まってきた。

暫くおいてフォーミングが上手く行くか様子見。


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アンプ部分もユニット化されて上手く出来ている。

石のPPの様だが、2SC対2SCになっているから、多分A級プッシュではなかろうか。

B級だと2SCと2SAの並びと思うが、石には詳しくないから良くは分からない。曖昧で申し訳ない。勉強不足である(^^;;

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マグネチックの場合は、信号が小さい為か、正面の横になった基板で、2段増幅されている。

光学オプチカルは、メイン基板に直に入力されている。

右のトランスは出力トランスで、シングルで2Wか3W程度、PPで10W程度と思われる大きさ。

回路はゲルマニウムTr.で構成されている。

球で言うカソードバイパスのCを交換してみたい気もするが、元々ゲルマは柔らかい音とノイズが付き物で、球っぽい感じの物だから、多分ココではハムが出る原因になっているとは思い難いから、今回は其の儘とす。

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電源ユニットに戻って、数分待ってもエキサイターランプのケミコンのフォーミングが進まない。

それどころか、若干電流が多く流れている。

普通は電流が僅かずつでも下がっていくのだが、これは逆だ。危険そうである。

アンプ部の平滑Cの1つをフォーミングすると、瞬時に電流が流れ、スッと流れなくなって正常であった。

もう1つもチェックすると、瞬間に下がったと思いきや、徐々に電流が ぐーっと流れ出し危ない傾向。

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こりゃ寿命的に先長く無い事は確かの様だから、交換する。パンクして掃除するとなっても面倒だ(^^;;

ランプのセレン整流器は逆耐圧が劣っているのか、1M程になっていて、気になったからシリコンの10DL2CZに交換したが、別段問題はまだ無いと思うが、ACの量が増えるとケミコンが傷むから早めに対策しておくのが良いであろう。

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ユニットを戻す。
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エキサイターランプが以前よりも明るく光る様になった。

フィルムを通して音を聞いたが、音が断然大きくなって、ハムが消えている。

最大にすれば僅かハムは残っているが、最大で再生したらばかなりの大爆音であり、屋外でも十分飛ぶレベル。

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キャプスタンのカバーを外して光学ヘッドとマグネチックヘッドを清掃。

光学ヘッドは、cdsかな。正面が直接覗いて見えないが、レンズ越しに青黒っぽい感じに見えるから、もしかするとセレン素子のタイプかも。

試しにiPhoneのLEDで音を出してみたが、高域があまり綺麗じゃなく、低域ばかりしか出ない音になった。モコモコした音で、ローファイ。

フィラメントの紫外線が重要なのか、明るさの問題なのか、焦点的な問題なのか、詳しくは分からない。


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フィルム送りの挟む部分の名称はなんと言うのだろう。

分からないが、外し方が分かったから、バラして清掃。

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窓枠に、熱によって寄り付いたカーボンが層になって厚くなっていたが、剥がれた。

カビっぽいフィルムを廻したら毎度掃除をした方が良いであろう。

ただ、ランプの熱で瞬時に殺菌が出来ているんじゃないかとも思ったり(笑)

 

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サウンド部分のテンションローラのアームの動きが粘っていたから、これも解決。

 

肝心のハムはブンブン鳴らなくなり、音も大きくなって、売られていた時の本来の状態に近くなったと思われ。

そうだよねぇ、機械に凄いコスト掛けて、ショボイ音出ていたんじゃ、丈が合わないもの。

 

さて、完全なる状態でまた見てみますかね(笑)