A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2019/09/14 SYNCHRON ELECTRIC CLOCK

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1kで出ていたからチョイと手付けしておいたら、其の儘終わってしまった。

電気時計も下火の様子。

安く欲しい人にとってはラッキーであるが、売っている側としたら、安くて困っている…という事もあるだろう。

良いのか悪いのか、考えさせられる。

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風防内はカビが出ている。

電灯線に繋ぐと、むぅー と音はしていているからコイルは断線していない。
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シンクロンの標準であるが、普及型ではない。

16吋 金属製 黒色 丸型 18圓50銭(昭和10年頃のカタログから)

停電補助がついたタイプは高級型で、バイクロナスの表記があり、信号機はついていない。同16型で当時価格28圓。

 

ps:この頃の一般給料が10円程らしい。

船による海外渡航が片道25円とのこと。

そう考えると、随分高級な時計ですねぇ(;´∀`)

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上記の挿絵は12吋型で、バイクロン。価格18圓也

 

モーターに給油を施すが、本当はモーター内を全バラにして洗ってやった方が良いが、密閉されている事もあるし、潤滑油で馴染ませたら捨てて、機械油を入れておく。

潤滑油は古い固化した油を溶かすが、其の儘にしておくと揮発して結局早いサイクルでダメになるから、潤滑油は注したら良くなった所で拭き取るかした方が良くて、稠度を合わせた低揮発の油を注すのが良い。

洗えたならば洗って、洗えない部分で潤滑油の使用が良いであろうと考える。

 

ピンホールの穴から給油し、終わったらハンダで埋めて封をする。
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時間合わせレバーがバネが折れてダラ下がりであったから、折れ残った残で工夫したり。

気になるのは、残骸がケース内に無かったから、前の所有者が機械を触っている可能性も考えられる。
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ガラスを外して洗った時に指針をチェックすると、短針がグラグラでどうやら幾度か無理やり裏から外そうとした気配がある。

カシメを強めにして、クリアランス調整して完了。


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東京電気、マツダの電気時計も有名であるが、電気時計を国内販売し始めたのは東京電気時計シンクロンが先 にアメリカ、テレクロンより特許を買ったと思われ。


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フォントの雰囲気はかなり古くなって、阿部彦吉の作っていた電気時計っぽい雰囲気があり、大正、昭和とあまり変化が無いようである。

彦吉氏の製品は、単独時計ではなく、公共向けの親子時計がメインであり、大正時代の電力事情もあり、無電源(自己発電式)の一斉制御時計を作っていた。

所有の親時計は、湿式電池式であるが機械構造は同様で、錘式でメイン時計を駆動させ、電池で電気的信号を線間に送り子時計を一斉に動かし同期させる。

 

 

 

 

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終わりに、凸面ガラス シンクロン。

普及品より1円5銭高い、7円65銭也。