A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

早川電気 TV-610型

運送屋の1人がテレビ届けに来ましたー、と伝票を持ってきて、後から来たもう1人が品物を台車で運んで来たのだが、箱が薄いし、何より大きい!

そんなハズはない。

私が買ったのは、薄板の天然色テレビなんかじゃない!球式白黒テレビである!

運送屋も伝票を照合、慌てて引き返し、真四角な箱を持って来たので、これにて一件落着(笑)

テレビと言ったら薄いのが定番の時代に、真四角なダンボール箱にテレビが入っているとは思い難いか(^^;;

逆に品物が行き届いたら、相手も嘸かし驚くであろう(笑)

40インチ程かを買ったつもりが、たった14インチ。

それもモノクロ。チューナーが無ければ映らない、なんて。

そんなドッキリも面白そうだ(笑)

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開封

早川電気のテレビセットはフライバック焼けを経験していて、好きじゃないが、状態が良いのが出ていたから買ってしまった。暇だから修理で手を動かしたいというのもある(^^;;

早川電気、シャープである。

東芝と違って一般汎用品で揃っているが、LCRは独自製造の様である。

ペーパもケミカルも、大多数が不良である。

チャンネルは元から12ch迄入ったモデルであるから、昭和31年以降ではないかと推測。

比較的新しい。

ボディは鉄板プレスで、11ch仕様の旧型と同じであろう。

デザインも似ているが、フロントパネルが引き抜きになっているのは改善なのか、コスト削減か分からないが、旧型はネジ止めであった記憶。

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内部は3、40年前に手入れしているのか、ハモニカセレンが外され、シリコン素子に変えてあった。富士のダイオードであろう。

他にもボチボチ抵抗やペーパーを変えてある。

ハンダ屑がガラガラ出て来て凄い状態。

回路をチェックすると、線が一本切られていて、調べると水平同期のVRのセンターに入っている線が切られていて、相手を探すと固定で回路が組まれている様子である。

B電圧の低い方から取りたかったのか、リプルを考えてなのか、音声終段のSG回路に繋がっている。Bから1.5kを通して20μFが入っている様だから、少し電圧は下がるしリプルも取れるだろう。

幾分変更してある様子を見ると、素人作業ではないかも知れないが、水平同期がVRの範囲内で調整が効かないのを補正する為なのか、固定にした方が安定度が良かったのか、それともC容量減少で、リプル取りが上手く行かなくなったからなのか、色々想像がつくが、実際の動作がどう出るか不明であるが、調整が出来ないと流れて止まらない事と想像。

通電してみて、どうなるか繋ぎ替えてみて動作具合を見てみるとする。

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ブロックコンは盛大に吹いている。

吹いていなければ、フォーミングしながら通電してみようとしていた。

しかしまぁ、こんなクラッカーをやった後の状態では危険なニオイしかない。

左の絶縁してあるケミコンは、倍電圧の高リプル品である。

電灯線の一発目に入るCだ。ブクブクに太って防爆弁も破れ済。

手前2つは外側がgndである。ABC表記にブロックになっているが、端子は赤青黄色と、どれがどの容量か不明であるが、回路の流れを考えたら想像はつく。こちらも2本共防爆弁が開放。

定めし通電して逝ったのではなく、自然に膨れ破れたと思われ。

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最近買ったテレビは、大抵高圧の球が何かしら割れている。

どうしたら割れるのか不明であるが、今回は1X2Bが派手な割れ方をしていた。

Sharpの印があったから、オリジナルだが、エミッションも悪くなっていたかも分からない。

尚、鉄のカバーが掛かった内側で割れていたから、最近の出来事ではなさそうだ。
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風防掃除。

ブラウン管は90°の日立製。

電子焼けはそこ迄していないから、そんなに長時間使ってはいない様である。

テストはしていないが、まぁ大丈夫であろう。

尚イオントラップは無い、後期型である。

筐体からすると、イオントラップ付きでも対応するだろう。後ろに余裕がある。
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チューブラのケミカルも1つ吹いていた。

他はフォーミングしてみて使えたら使っちゃおう計画。

ペーパーは50メグ程出るのがあるが、暫くすると急激に電流が流れ始めて100k近くに。

5000pf辺りの小さいのはまだ使えるが、0.05μF以上は全く絶縁不良。
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調べると抵抗も2本断線。

7Ωと小さく、調べるとP.Lに挿入してある保護抵抗が切れている。

P.Lも飛んでいる。電流の流れ過ぎであろう。

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もう1本は音声出力段の方へ行っている巻線抵抗で、表面の焼き付けが粉になって巻線が見えて、4箇所程断線している。

抵抗値が分からないが、端々から調べると300Ω、100Ω、間抜けて400Ω程だったから、1k3Wくらいだろうと予想。

終段は6AR5かと思ったが、4M-P12で、600mAシリーズのテレビだ。

代表動作電圧が180Vだから、大体その辺りになる様に、ここは調整すれば良いという事になる。

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もう大凡パンクの危険は無いだろう雰囲気迄、交換したから、通電してみる。
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テレチューブは筐体へ付いていて、外すのも面倒だから、CRTのソケットにショートプラグを挿してヒーターが灯る様にして、セットの定格電力が170Wらしいから、電流計を挟んで異常電流が流れないか見ながら徐々に電圧を上げる。

ps:ハドリー・ラボのアンプに使ってた風のデザインの電流計が出てきた(笑)
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シャーシの高圧箱横に、点検用なるナツメ球が付いていて、本体スイッチとは別で点灯させられるというモノだが、Hotがシャーシ側に来ているとビリっとするから、良いのか悪いのか。

本当だったら、電灯線から抜いてからシャーシに触ってくれという但し書きがあるのが普通だったと思うのだが(^ω^;;)

変わったデザインである。

シャーシを見た当初は、Bのヒューズにナツメ球を使っているのかと思って面白そうだと思ったが、タダのランプだったという。

バラストにでも使っていたら、相当風変わりだったのに。
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各所の電圧上昇具合と、ケミコンを触って熱々にならないか様子見しながら、徐々に電圧を上げて行くと、70V辺りでキュキュキュと鳴き出し、暫く待つとキーンと発振が始まった。

偏向ヨークの端子からアークが出るから、高圧発生はしている。

後はCRTを繋いでラスタが出るか試験してみよう。

高圧が出ていれば、ラスタは現れるハズである。