A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2019/08/06

置き時計のOH依頼品

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SEIKOのデスククロック。

ベル付きの2石で、この2石はテンプの上下と考えられる。

総プラで後期の品物と思われる。

ローコスト品の様で秒針は省かれている。
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時間合わせがアラーム合わせよりも調整し難いという割と凄い設計。

アラームは真横にあり、滑らし回し易い。

曜日は右下の銀色のツマミを半回転させて飛ぶ。

ゼンマイを巻くととりあえず動く様だが、止まり易い様子。
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機械は本体に捻り止めで固定されているだけで、かなり容易なもの。

時代が時代なだけあってか、OH歴は無い模様。

機械もかなり綺麗なのだが、調整ポイントがないという具合を見ると、使い捨て意識なのか、工場の有り余った物を上手く活用したのか、出来はあまり良く無いと見受けられる。

これ用にプレスしたとは思い難い雰囲気。

使い難い構成になった要因とも思える。

また、バラそうにもバラせず、プラにヒビが入っている箇所が多く、パックリ真っ二つという可能性も考えられるから、此の儘洗い油でハケ洗いとした。

超音波もカシメや楔系の部品が脱落する可能性を考えてやめておく。

洗い、給油で動く様にはなったが、今後何時迄持つかは不明。

19世紀の職人が1つ1つ手作りしていた時代の物と比べると、かなり耐久性が危うい。

ただ、これからの時代は、定めし昔の様に、良い物を…という思考になっていくのではなかろうかと思う。

中途半端が一番難しい。


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2つ目

東京時計のデスククロックで、前者の物よりか幾分古く、前者と比べるとコストが掛かっている。

動作はしているが、アラームが誤作動するとの事。
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東京時計特有の変わり種の機械だが、これはシリーズで同じ形式の様である。

使っている機械は同じだ。

こちらは調整ポイントがあり、幾度かは修理して使える様な設計の様にも見えるが、昔プレスした機械を上手い事、使い続けているともとれる。

2石となっているが、テンプの受けに入っているか見た目からは判別不可だった。

ガンギとアンクル部分に折角だから石を使ってほしいところであるが、100年も使っていると、石と言えども磨耗はするもので、やはり交換が必要になる部分ではあって。

金属アンクルは50年も使うと、磨耗で無くなってしまう。

ホゾもガタがくるが、質と引きが良いと、長持ちする。引きが荒く、研磨も上手く行っていないと、すぐに穴が広がってしまう。

さて、こちらも、指針を抜いて完全にバラにしようと試みたが、短針が圧入の様で抜けない。

これを無理に抜くとアラームとの歯車の具合が悪くなりそうだったために、バラすのを断念、少しづつ洗って給油とした。

動作は問題無いが、アラームが誤作動するのか試験中。