先日オーバホールした置き時計が郵送後に再度動かなくなるという不具合が生じ、折り返してきた。
確かゼンマイは巻けているが、動作せず。
調べると、振り石からアンクル外れという症状である。
通常、振り石とアンクルがエラーを起こしても、戻り止めがある故に、落下させない限り、外れる事は滅多ない。
しかしながら、良く調べると、この上下板は単なるカシメで止まっており、テンプとのギャップは、上下板の中央に、つっかえ棒として押し拡げるネジがあり、それで調整しているだけである。
要は、ギャップがかなり曖昧である。
非常に簡易というか、板が反ってしまい、精度的に気になる部分ではあるが、動いているから良しとする。
テンプのガタつきを極限に無くすと、僅か掛かっている、戻り止めが外れなくなったが、どうもこの戻り止めが殆ど役に立っていない様にも思える設計で、アンクルを曲げて調整し直した方が良いか迷ったが、強制的に戻り防止が効いているか試験してみると、効いているので良しとした。
簡単にテンプの挿絵を描いた。
チラネジ付きは旧式のテンプであるが、更にバイメタル式になっているタイプは、高級品である。
今回の品は、大量生産廉価型の後期品である。
A、振り戻り止め
片方へと振った時に、もしも戻りが早かった場合にも、それを阻止し、常に同じ方向性となる様に制御している部分。
このタイミングが狂うとアンクルとが同期しなくなる。
B、アンクルと振り石
振り石は、通常は石なのだが、廉価版となると、石は一切使用していない。
磨耗を考えて石が使われる。
上等な水晶時計は、石が使われている。
石が多けりゃ良いっていうモンでもない。
アンクル部分は、石を蹴り出し、テンプに勢いをつける重要な部分である。
OHは済んでいるから、しばし様子見。