A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

2019/08/03

先日オーバホールした置き時計が郵送後に再度動かなくなるという不具合が生じ、折り返してきた。

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確かゼンマイは巻けているが、動作せず。

調べると、振り石からアンクル外れという症状である。

通常、振り石とアンクルがエラーを起こしても、戻り止めがある故に、落下させない限り、外れる事は滅多ない。

しかしながら、良く調べると、この上下板は単なるカシメで止まっており、テンプとのギャップは、上下板の中央に、つっかえ棒として押し拡げるネジがあり、それで調整しているだけである。

要は、ギャップがかなり曖昧である。

非常に簡易というか、板が反ってしまい、精度的に気になる部分ではあるが、動いているから良しとする。

テンプのガタつきを極限に無くすと、僅か掛かっている、戻り止めが外れなくなったが、どうもこの戻り止めが殆ど役に立っていない様にも思える設計で、アンクルを曲げて調整し直した方が良いか迷ったが、強制的に戻り防止が効いているか試験してみると、効いているので良しとした。

 

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簡単にテンプの挿絵を描いた。

チラネジ付きは旧式のテンプであるが、更にバイメタル式になっているタイプは、高級品である。

今回の品は、大量生産廉価型の後期品である。

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A、振り戻り止め

片方へと振った時に、もしも戻りが早かった場合にも、それを阻止し、常に同じ方向性となる様に制御している部分。

このタイミングが狂うとアンクルとが同期しなくなる。
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B、アンクルと振り石

振り石は、通常は石なのだが、廉価版となると、石は一切使用していない。

磨耗を考えて石が使われる。

上等な水晶時計は、石が使われている。

石が多けりゃ良いっていうモンでもない。

アンクル部分は、石を蹴り出し、テンプに勢いをつける重要な部分である。

 

OHは済んでいるから、しばし様子見。