A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

小型 精工舎 置き時計 修繕

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去年にOHをしたものですが、動かなくなってしまったという事で再度ドック入り。

(修理に関する問い合わせはWebショップからメールにてお願い致します。電話の場合は研究所を御指定下さい。)

 

戦前からある精工舎の置き時計の機械で、機械程ある香箱入りゼンマイを背負わせた1週間巻き式が、この設計の最長時間である。

筐体のデザインは、ウランガラス、色ガラスや、大理石、ブロンズ、木箱等がある。

殆ど機械はどれも同じで、年代によって若干プレス型が違う場合がある程度。

OEMや他方にもプレス型は渡している様で、手塚時計でも、占領国時代に似ているのが目にする事が出来る。

ちょっと手を加えると、色々と応用の効く構造設計である事が分かる。

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症状は、ヒゲゼンマイが外れていた。

以前のドック入り時には、前の時計屋がやったと思われる、アロンアルファ固定法であったが、それだとOH時にやり易くないから取っ払って、楔を作り直し打ち直したが、こうして外れるのを見たところ、アロンアルファに至るというのも分かるかも知れないが、結局アロンアルファでも外れていたっけ(笑)

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再度新しい楔を作り直した。

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動作はする様になったが、安定が悪い。

何だろうと様子を見ていると、テンプが重そうである。

外してみると、天真が錆びている。

これは負荷になって宜しくないから研磨した。

それでも振りがイマイチであるから、アンクル角度をチェックすると、振り切った位置の戻り止め爪が天真に当たり過ぎ。

これが負荷になって天真を押さえつけていた。

調整してやり振りが良くなった。

 

アンクルとガンギの爪部分のピアノ線はかなり磨耗し、かまぼこ状に半欠けであるが、0.2mm程ではないかと思われ。

現状で0.1mm残っているかどうかといった雰囲気であるが、打ち直しをしても良いのだが、ピアノ線の持ち合わせがないし、買ったら一生涯に使い切れない程の量となるから、なかなか難しい選択である。

目覚まし時計の標準機であれば、アメリカ LUXのを打ち直しした事があるが、結構太かった。

太いと言っても、1mm無い径の代物であるが。

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裏ネジを締めて仕上げになるが、ハンダ割れを起こした。

見てみると、ステンレスにハンダが上手く乗っていない。

これでは幾らやっても外れてしまうから、フラックスを塗って全面にハンダが流れる様にした。

アルミのフラックスも高いが、ステンレスのフラックスも高くてバカにならない。

色々な物が値上りし過ぎて、修繕も製作も容易じゃないから、国内の技術系は衰退を加速させる要因であろう。

現に工業の優秀度合いは他国比べて劣っているし、測定器もスペイン製が優秀であるというのは、精度を求める部門では有名な話。

 

まぁ、昨今事情はさておき、歩度測定器に掛けようと思ったのだが、昔ながらに毎度目視確認にする。