修理依頼品。
時報が00時ではなく5分程進んだ位置で鳴る。
止まり易い(?)
柔い缶ケースでなく、金物といった具合でしっかとした高級品と見受けられる。
小さな渦ボンが入っていて、低い音が出そうだが、案外チンと甲高い音。
機械は2層で、時間計と時報のブロックで、時報は船舶鳴りの3交代制。
案外複雑な構造をした時報側である。
時計の病院で2014年にOH歴がある様。
現状では少し振ると動いている。
テンプはバイメタルで、チラネジ附の旧式ではあるが、高価な部類。
しかしながら、テンプがどうも傾げている。
分解を進めてテンプをみると、かなりのガタがある。
それでも動いているが、クリアランスの調整は下石の方で出来るのかな?
こう見ると、上と下の隙間の開き具合が異なり、前のめりになっているのが見て分かる。
テンプ部はユニットになっているから、外して観察。
石受けは固定だから、クリアランス調整は不可。
試しに紙を挟んで絞まる様にしてみてもまだガタはあるが、ユニットの自重で動かすと90°は振っているから、これでも良さそう。
給油のオイルは茶色の様な黒の様な、酸化したニオイとホコリを含んでいる様な具合だから、OHすれば、致命的な壊れ方ではなさそう。
分解する。
時報との連動部は面白い構造で、筒カナが2連になっていて、手前は長針の時報、00、30を合わせる用途。指針のネジを締め込み止まる様になっている様だが、締め込んでも動き易い。
後ろの筒カナが時間合わせで、手前の筒カナも同時に動く。
一番後ろは緩い筒カナが入っていて、これは時報の数取をする部分。
指針側でやらない別途構造。
ゼンマイは時報側は幅のある高トルク型で、時間計の方は幅の狭い物が採用されていた。
高トルクのゼンマイ部分はグリースをくれたのか分からないが、緩い様な油が黒い状態で洗ったらすぐに落ちた。
上から給油しただけなのかな。分からないが、固着していなかったから洗いは楽だった。
組み戻しが時報側は苦労する。
テンプの緩さは紙2枚だとキツくなる様な雰囲気だったから1枚で。
石のセンターも出ているし、問題なかろう。
立てて置くものだから良いとは思うが、ゼンマイを殆ど巻いていない状態で動くが、寝かすと逆に止まり易い。
ある程度巻いてしまえば寝かしても動くが、テンプが緩いのは意味があるのかも知れない。
現状でテンプの傾げは見ても分からない程に垂直が出ている。
本来は垂直か水平でなければならないと思うが…
長針の鳴り位置調整。仕上げ。
ボンボンがキンキンと金物当たりの音で心地良くない位置に調整してある事が分かった。
モクのマレットだから、嫌な音がしない様にしてあるのだが、正常の位置ではない。
ハンマーの横当たりをする様に調整されていたから、正常の位置ではモクが当たり過ぎで、余韻が皆無。
曲げられた分を元へ曲げ直してやって、正常の音になった。
ポンポンと低い方が出て癇に障る嫌味さが無くなった。
こんな音。
あとは時計として動き続けるか様子見。