A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

7、10、12インチ

演奏が終わった後に、フェードインアームが定位置に戻って来ない症状再発。

手で元へ戻そうと触ると、カチンと音がして、バネが掛かるのか自力で定位置へ戻ろうとする。

どうやらフェードインアーム内の機械はオーバーホールされていないのか?

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バラしてみると、オーバーホールされておらず、手付かずだ。

メンテナンスに前オーナーは出しているが、細部までは触っていない模様。

もっと言えば、油をくれただけで、オーバーホールではなさそう。

綺麗に拭いてある部分も見受けられるが。

これで数百ドル取る仕事と言えるのか…?少々疑問である。
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センター部分が標準サイズのスピンドル用の爪が。

外枠の段付きになっている部分が、7’シングル、所謂ドーナツ盤用になっている。

この2種は種別関係なく、一連の同じ動作の中で、咥える場所が違うだけである。

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フェードインアームをバラすと、掴むテンションの具合が変わるから、再調整が必要になる。

押し出される金具と、スイングするアーム部分で成り立っている。

押し出される金具の端には、磨耗しない様に真鍮のカラがあって、これで滑る様になっていたが、このカラとが固着していて、力が掛かる方向へと板金が若干だが、曲がっていた。

コロが回転しないだけで、板金が曲がる程に発展してしまう。

もっとも、それだけ力が瞬間でも掛かっているという事である。

尚、板金は結構薄く1mmであろうか。

ドイツのカメラは不具合が起きた場合に、心臓部迄破損しない様に、あえて手前で壊れて機能停止させる様にした歯車が入っているのは有名である。

そんな様に、エラーを起こした際に、保護用の部品が組み込まれている可能性を考えると、結構怖い。

もっぱら、モーターのトルクがそんな強くないから、多分それで壊さない様になっている事と思う。思いたい。
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調整してやり7インチ、10インチ、12インチで問題ない事を確認。

 

面白い事に、完全に掴みきる様にセットすると、都合が悪い事が分かった。

8分目か9分目位にかかる様にセットし、左のストックヤードからターンテーブル迄の90度の角度の範囲内に均等になる様にセットする。

片方が強く掴む様にセットされると、どちらかに掴んで持って行って、手放す時に離れない。

また、電源が切れた時にフェードインアームが定位置に戻らず、中途半端に止まってしまう。また、フェードインアームがストックヤードの上方に頭を打つけて、止まる場合あり。

これは、フェードインアームの大ネジを外すと現る、半円の回転子を目視で確認するのが早い。

この範囲を調整すると、フェードインアームの左右の停止位置が互いにズレる。

なので、ストックヤードから掴みに行った時、ターンテーブルから掴みに行く時で、再調整が必要になる。

これは下までパタンとアームが降りなくなってエラーを起こすだけだから、降りる様にジックリ調整すれば良い。

アームが落下する動きは、重力に頼っているから、降りなくても機械の負荷にはならない。

 

 


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Flowlight Sky Set

この7’LP、私が持っている数少ないLPで、7’ではあるが、シングルではない。

RCA規格(ドーナツ盤)の45RPM盤ではない。

昔はビンボー学生向けに安く売っていた物とのこと。

曲目は片面2つで、4曲。

かなりカッティングが浅いだろうし、目が詰まっているから、ガタガタ言う人向けじゃないのは明白か。言ってみれば、ソノシートの固いバージョンという感じか。

10’や12’のLPが定番な感じになっているから、大凡のオートチェンジャーは7’シングルは再生出来るが、7’LPは不可という機体も多い。

(大概、センタースピンドルの交換対応だから、7’シングルじゃないと再生できない)

 

7’シングルの生い立ち話をちょっとだけ。

元々この7’シングルは、茶色い色をした磁気ディスクを、RCA Victorが開発、自動広告機の中に入れて使うのが前提だった。

自動広告機は、百貨店に販売員が居なくても、説明を聞きたい商品のボタンを押すと自動で行うというモノ。

言ってみれば、ジュークボックスの様な形態である。

(これが昭和30-33年辺りの事で、昭和38年辺りには、これを改良した、ドーナツ盤がグルグル回って引っ張り出して来るスタイルのジュークボックスとなっていた)

この広告機の凄い所は、磁気ディスクという事である。

要は、商品が変わり、不要になった場合に、ディスクを廃棄するのではなく、ディマグネタイザで磁気削除をしてやり、再度録音してやれば、マスター盤をカッティングし、プレスして…という手間が一切ないのである。

であるから、量産向きじゃない説明、演説用ディスクとしては、完璧であった。

それだったら、テープでも良いのではないかと思われるかも知れないが、巻き戻しの時間や、中断して別のに…という場合、ディスク式であれば、何時でも中断が可能で、別のディスクに差し替えれば、それだけで済む。

とにかく最短なのである。

それと、センタースピンドルが大きいのは、機械が多少ブレても、センターが大きければ、定めが付き易いという事から、あのサイズなのである。

…とまぁ、そんな歴史がありましたとさ。

 

 

この7’LPは、確か例大祭で買った記憶。(気に入っていながら覚えていないw

ps:ググったら出てきました

http://foxtail-mikanbox.forest306.com/7inch/

 

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