昔、(1950年辺り?)AMステレオ放送の試験運用があり、先駆けで各社はAM-AMレシーバーを発売していた。トリオ、サンスイ等。
しかしながら、その後のFMの登場でAM-AMステレオは廃れた。
MS-11Bは、その時代の品物である。
ググっても出てこないから、どマイナーな機種なのだろうか(笑)
それか、製造期が短期間過ぎて、残存数が著しく低いのかも知れない。
どちらにせよ、AM-AMステレオなんて、知る人ぞ知る存在で、今更欲しがるモノ好きも少数派、いや、誰もいないかも知れない(笑)
私自身は、くれるというから貰ったが、買ってくれよと言われたら断るに違いない(笑)
AM-AMの他にも、AM-SWが選べる。
中波と短波でステレオ放送をやっていたか不明。
ただ、この頃の製品の殆どは、SWが右chにあるため、右ch用の電波を送っていたのかも知れない。
この様式は、レシーバーアンプであるが、ちょっと高級仕様の様で、12AX7のフォノEQ回路が含んでいる。
安い物になると、フォノアンプは、別売のユニットになっていて、マグネチックP.Uを使う場合は、ユニットを買い揃える必要があった。
(所有のトリオのトライオード アンプは別売になってた)
また、高級度を上げる、同調表示管、マジックアイを2つの搭載している。
因みに、電源スイッチがプッシュ式で、まるでテレビみたい(笑)
ちょっと斬新。
これは貰い受けた物だが、その昔から通電した事がないとの事だから、其の儘電源を繋ぐとケミコンがパンクする可能性が高い雰囲気がしたから、ボルトスライダーで50Vから印加。
直熱管ならば、20V位から始めても良いが、このセットは傍熱管の6CA4を使っているから、ヒーターが温まらない事には、B電圧が上がらないから、50Vとした。
50Vで1時間、ヒーターは燈らないが、管は温まっている。
60Vに上げると、アンプとして機能し始めた。
ケミコンを触って、温まっていなければ、上げても大丈夫。
これは飽くまでも勘であるが(笑)
Auxに信号を入れてスピーカーを鳴らしてみるが、酷く歪んでいる。
電圧が低いせいもあるが、ケミコンがチャージで更に電圧が低くなっているとみた。
古いケミコンは、フォーミングしてやらないと、電流が一度に多量に流れて、それが熱になる。
熱によって加熱された電解液が蒸発し、防爆弁を破る。これがパンクの一連である。
フォーミングは、耐圧の電圧迄上げるの普通だから、セットに搭載された状態では、完全なるフォーミングは不可能であるが、余裕を見た電圧を印加してやりフォーミングすれば良い。
石のアンプだと、安全回路がB回路を遮断しているだろうから、結局 小さい電圧から上げることは難しい。
右2つの容量の小さいケミコンが、70Vに上げて若干ながら温まって来たから、電流が多く流れた事と考えられる。
まだ徐々に上げないと危ないが、ちょっと頑張ってもらって、80Vに上げた(笑)
歪みは今まで通り中高音域にあって、低域もブーストしてもそんなクリップしている様に聞こえないから、Bの平滑は馴染みが良いようだ。
おそらく、ドライブ段に使っているケミコンが多量に電流を食っている感じの雰囲気。
多分20μFとか40μF辺りがぶら下がっていると思うが、抵抗が沢山跨いでいるから、フォーミングに時間が掛かっているとみた。
ただ、実際のフォーミングは、1日位は電圧が上がる迄に掛かるのが普通だから、それよりかは断然速い。(1mAか10mA位を流し続けると、次第に流れなくなり、数μAに落ち着く)
熱を出さずに、フォーミングするのが一番良いのは御承知の内であるが、こんな古いケミコンを長く使う事もないし、動くか確認だけならば、パンクしない程度にフォーミングすれば十分だ。
80Vで5時間経過したが、歪みもなく、非常に安定が良い音に変わった。
ハムも無いし、マジックの残量もあって、非常に良い状態のセットである。
様子見するのにボンネットを外したが、モチロンある。
ラジオも受信感度が良いから、これは良いモノをもらった。
温まると部品が安定するという言われもあるが、それよりコンデンサのチャージが終わって安定した時の方が、一番良い状態に回路が動いている事と考えられる。
熱は極力出さずに、ストーブじゃあるまい、温める装置ではないから。
熱を出す程寿命が縮めるだけと考える。
球は温まるが、温めている訳ではない。電子を放出させる為である。
構成は6BQ5の至ってシンプルなシングルであるが、出力は5W位は出そうだ。
ドライブは6AQ8で、CRのEQ回路を含ませてある。
高効率のスピーカーで鳴らせば、相当満足行く事だろう。
昨今の低能率のスピーカーはドライブ出来ないであろうが。
手が空いたらオーバーホールしてやる事としよう。