続き
仕上げに端子を磨いておく。
1976年の製品らしい。
あまり古く感じないが、48年も経過している品物。
試運転。
2時間程は問題無く動いていたが、Lchの音が出なくなった。
調べるとフィラメントが燈っていない。
A電源B電源メーター信号のプラグは1つだから、そこの接触不良である事は間違えない。
増幅側を幾ら触ってもすぐに消える。
それで電源側を調べると、反応が大きくなったし、メーターの振り方も怪しいから、原因はここらしい。
昔に何か触っているのか、ソケットに番号が振ってある。基板側にも書かれている。
それで、原因はすぐに分かった。
ソケットが折れているのである。
フィラメント電源は端らしい。
離れた側はB+であろう。大凡予想はつく。
このソケットコンタクトは今に無いかも知れない。どうしようか考えて、空ピンを埋めている事に気付いて、これを1つ貰う事にした。
通電しっぱなしで抜き差し作業したが、半導体素子の場合には、バチバチとアークを発生させると素子をあっという間に壊す可能性があるから、これは真似しない方が良い。
感電の危険もある。
交換する。
折れたのを観察。
バネっ気は強めで、摘んでいる部分は薄くなって僅かの掛かりで、如何にも折れ易い構造をしている様に見受けられる。
これにてフィラメントは消えなくなった。
動作も一通り問題ない。
しかしまぁ、私が“薄情だし面白い音はしないなぁ”と言ってしまったからか、大蔵省が“綺麗に鳴ってはいるが、鳴っているだけで表面的な印象がする”と言い出した。
言いたい意味は分かる。深さを感じない浅く軽い印象がするのである。
それは単に低域の押し出し馬力が無いから、そう感じるのか分からないが、出ていない事もないが、やがり面白い音はしないのである。
サッパリとスッキリ、軽い音である。
ベッタラ ベッタラしていない、乾燥している様な。
恐らく低域がどっしりしていないから、軽く感じるのだと思う。
かと言って、不足しているとも思わないが、私的には好みじゃないなと直感で思った。