A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

Gammatron 54 / RCA 800

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カーフマンの古いタイプ、ガンマトロンと入っている54。

部品を納品しに行った時にお代の代わりの様な感じで譲ってもらった。
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カーフマンは100THが有名かも知れないけれど、独特、独自の送信管の類で優秀メーカー。

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フィラメントはトリタンだから、かなり明るくなる。

白くもなっていないし、そんなに使っていないと思われ。
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0バイアスで、Ep300 Ik10mA。

ノンゲッタだから、プレートは赤熱させて焼かないとガス吸着が進まない。

短期試験であれば、問題なかろう。
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A2動作だから、入力1:4は酷であるが、そこそこに鳴った。

低域はかなりドンと効いて流石送信管。

シングルらしからぬ重量感、力量感。

ただやはり綺麗にスイングせず、プラス側はグリッドに吸われて潰れるから、かなりのアンバランス。

歪みっぽさはクリップでは無いから感じ難いが、違う音が出ているから、薄くロックな傾向になる。

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ボーカルもヴァイオリンも、エフェクトがかなり強い。電話っぽい質感。


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UX-800

800番台の送信管の最初期型。

当時はまだナス管の時代で、STの時代には製造を終えているらしい。STの800はない。

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トップにG-Pで、送信管らしい送信管な面構え。優美でカワイイ(笑)

音は54に比べるとμが低いなとすぐ分かる。

ガンガン鳴らないから、54の方がμが高い。

調べたらμ27。800はμ15。

12差が割と大きく思う。

0バイアスで同様の繋ぎで、Ep300 Ik15mA。

トリタンだけど、アメリカンな明るい印象は薄い。

Pd35Wで、300VでこのIkだから、高圧を印加しないと-Cを掛けるにもカットオフになって、B級がお似合いになってしまうけれども、生憎2本づつしか無いから、シングルは決定的。

高圧でA1領域をカバーしようとするのはかなり大掛かりな電源が入用になるから、電流で押し込んじゃって程々のB電圧でA2動作にするのが、まぁまぁ毎度お馴染みのやり方ではあるけれども、球に対して程々出力は得られるし、電流を流しておいた方が電源の安定に繋がる。

どちらにしても電源トランスが良くないと、回路が幾ら良くても、ヘタレなのは変わらない。

程々重いのはやはりそれだけパワーがあるから、球のパワーに見合ったトランスを用いた方が釣り合うのは言うまでもなく。

 

 

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しばらく800を動かしていると、エミッションがジワジワ良くなって来ているか、19mAに上がって来た。

僅かの事だけれど、使っていないとエミッションが低下する事があるから、軽くでも使ってやった方が良い。

フィラメントだけ点火してエージング出来たとしている方が居られるが、それは不適切。

傍熱の場合は逆に酸化膜がカソードへ付くからエミッションを悪くする。

カソードは電子を出すから、それの行き場がなくしておくのは宜しくない。

プレートに低圧でも印加して0バイアスで良いから、数mA流しておくとカソードが活性化する。

無理矢理なエージングをやる機器で、g1にプレートと同じプラスの電圧を印加して、電流を無理に流してやる方法のがあるが、それはエージングの度を超えて、御釈迦への近道な気がしてならないから、それはやらな方が良さそうだ。

整流管として使ったとしても、グリッドはカソードへ結んでおいた方がグリッドが焼けなくて済みそうである。

プレート側であると、グリッドからも電流が流れ出すから、孔子が赤熱する。

 

サイラトロンの場合は、どちらに繋いでも良い。

と言うのも、サイラトロンの場合は定格が普通一般の球よりも大きいし、小さい球の場合でもガスが充填されているから、グロー放電でプレート側の方が強くなるはずである。

カソード-グリッド内しか放電しない場合は、グリッドがプレートと同電位になっていて、一番近々の電極から放電が始まっている事を意味するであろう。

グリッドを挟んで放電が起きていれば、グリッドもその放電で熱される。

電圧増幅か電力の3極管や5極管を整流管として使うならば、グリッドへはドロップ用に抵抗を挟んでおいた方が焼けそうに電流が流れ出した時にストッパーになってくれるであろう。

ただその時は電圧ドロップも大きくなるかな。

 

800、アメリカンな明るい感じがなくて落ち着いていて優美な印象。すごくマイルドな雰囲気。でも結構細い音は歪んでいながら出ているから再現力はあると思われ。

μが低いから大きい音が出せないからっていうだけの話かも知れないけれど(笑)

54の方がまだ少しヤンチャしそう。

A2動作だから、同じく上部分の歪みは大きい。

信号が大きければ大きい程に電流を吸い込むから、その低いインピーダンスに耐えられない入力トランスで鳴らしているという意味。

A1動作であれば、6V6でも余裕で0Vからちょっと超えた辺り迄はスイングさせられる事になるから、大分爆音が出せると、そういう事になる。

球で言えば、6SL7程々はあるかなと思う。

もうちょっと取れるかな。

SL7程は無理だな。間くらいかな。

 

UTCが良いって言われる頃もあって自分も結構な値段で買った事があるけれど、入力許容が案外小さくて、すぐに磁気飽和を起こして、CD ライントランスで使うと上が全て回転して変わった音がして良くなかった。潰れる。

サイズも小さい入力トランスだったけれども、高値で買うのはお勧め出来ない。¥1k程度なら良いかも知れないけれど。

多分売った人も、良く無いなって分かって大量放出があったのだと思う。

まんまとやられた。だけども勉強にはなったから良しとしよう。

ピアレスのトランスはバラして分かったけれども、変わった巻き方をしていて、シングルでもギャップが無いものは、内逆巻きをしていてプッシュの様な動作にして磁化を打ち消していた。流石。

あまり出回らないし、出回ってもUTCよりも高価だから、分かってる人は分かっているのだと思う。