4ヶ月か前に電話を貰ったお客さんが店にみえられて、不動のメーターを預かった。
ヒゲが腐食で切れているであろうと予想していたが、もっと予想を超えた、接着面外れでコイル断だった。
後から話を聞く所によれば、良くある故障症状なのだとか。
部品単位では殆ど同じ物は出てこないそうだ。
分解をすればする程自然分解されてしまって、調べ様とすればする程にバラバラと。
それで、コイルはどちらにしても断線していて、巻き替えが必要な事も考えて、修理部品で少し高価でも、そちらの方があるなら安上がりなのではないかと電話を入れて、替えが無い、出て来ないのだと知ったのが、最早自身のモチベーションで、やっても良いが…。
という微妙な部分で、予算を聞いて始動した。
値段なんて有って無い様なものであるというか、技術を売るというか、手間を売るというのか…無形何とか。そういうものかも知れない。
技術職は本来えらく効果なモノなのだとは思うが。うちにも営業担当は本当に居た方が良い事は間違えない様な気もする。
一先ず自分に火入れできたから、修繕していく。
両面接着面は外れていたが、片側はコイルが耐えて繋がっている事を発見した。
これは巻き始め側である。これは巻き直さなくても、もう終端を見つければ良いという事になる。
但し、ここで切れてはいないが、内部で切れていたら、巻き直しは免れない。
ここは賭けに出て、切れた一端を探す。
巻き方からすると恐らくこの辺りが切れた終端だと思われる面から探し出す。
傷にしない様にニスを抉りながら終端を探し、一点に光る部分を見つけた。
もしかすると断面の可能性がある。
…と思ったが、これではなかった。ニスの剥がれで線が点で光って見えただけ。
探しに探してようやく頭を見つけた。
気になる導通は有難い事にあった。
距離は切れて短いから、これに継ぎ足す。
45番ゲージ
40μmを結ぶのは酷であるし、コアに干渉しても不良だから薄く薄く面でハンダする。
ワニスでコイルを束ねて圧縮したら定着待ち。
他を組み立てる。
指針を貼り合わせ、また定着待ち。
次にヒゲをハンダ、コイルをハンダ。
これにて元に戻った。
調整、組み立てをして完成。
Hickokのメーターも同じく壊れ易い時期に来ている様である。
まぁまぁ、壊れない物はこの世には無いから、その時期が早いか遅いかの違いではあるが、これでまた暫しの延命になった事と思われる。
後何年持つかは…その時期が来ないと分からない。
コイル自体は動かないACモーターでも、コイルがレアショートを起こして火を噴く事はある。
絶縁ワニスは入っていても、ACで線が僅か振動するから、これで割れてしまうのであろう。
トランスも同様にレアショートする事はある。
メーターはそれで言うと、コイル自体はボビンで一体化していていて、ボビンが動いて、コイル自体は動いていないと言えるのか…。