A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

不思議な発振器

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不思議な発振器の様な物。

メーターが結構大きいスケールなのが、スピーカーか何かを直接的に駆動する物なのかな。全く分からない。

そういう方が面白い(笑)という具合でとりあえず知りたいから買った。

面白い、珍しい回路なりで構成されていたら、部品に価値がなかったとしても、知識としての価値はある。ポジティブに行こう(笑)

 

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上部は開閉する。球を入れ替えする用途。

古めかしいデザインと言ったら、そんな感じ。

当時はこういうのが普通一般。

外見で分からない物は、中を見て、大体の構成で、粗方検討を付けられるから便利な蓋だ。

あまり中身は詰まってないかもな。そう言った印象。重いという程重くもない。

トランスは1個しか入ってないだろうな。

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気になる中身は案外詰まっていた。CRが綺麗に並んでいる。

それも素人工作レベルではなく、数熟している人の作品の様だ。

何か物書きの人のかも。例えば、無線と實驗とか。なかなか大人っぽい質感。

 

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程々ミテクレからして危険なコンデンサが多い。

相当寝ていたかと思われる。

此の儘にいきなり通電すると、コンデンサが爆破する可能性は96%かなぁ(笑)

後の1%は極めて稀に問題なく動作するパターン、もう3%は、時間差で良いじゃんと思わせてのドカーンのパターン(笑)
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パッキンが限界に膨れている。

防爆弁も素材はゴムだから、これも硬化してガチガチ。

防爆弁の意味は無さそうだ。破裂する時は、割れて電解液と絶縁紙が高温になって飛散するであろう。

火傷で済めば良いが、アルミ筒が爆破する様な事があれば、それは手榴弾である。

知らないで古い機材を通電するのは、土の中から出て来た手榴弾を、それと知らずにピンを抜いてみるのと同じ位に危険である。

交換した方が安全である。

以前にオイルコンデンサが顔の横で破裂してオイル浴びたけど、あれは熱かったねぇ(ーー;)

ビニールみたいな変なクサイし。pcbだったかもなぁ(°_°)

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大電流が流れない様に、クッションに高抵抗を挟んで、通電してみる。

※危険だから真似しない方が良い。お勧めしない。メーカーは10年寿命と宣言している。

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280Vのタップで、ジワジワと電圧が上がって150Vに達した時、それ以後、電圧の上昇が著しく遅くなった。

要は化学変化で、活性化する時間が必要になっているのである。

活性化を無理矢理早く行うと、急激な熱に変わり、密閉されたコンデンサは爆発に至る。

活性化は化学変化だから、不良の場合は活性化が進まないから、どんどん熱に変わる。やがて破裂に至る。

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暫し時間を掛けてゆっくり、電源を切ったり入れたりして、徐々に慣らしてやると、そこそこに電圧は上がったが、コンデンサの一部は熱くなる。

活性化が進んでいないが、無理をして動作しているか、漏れ、漏電が発生している状態で熱くなっているから、危険のサイン。

すぐに電源を切った方が良いが、波形が出ているか素早くチェック。

出ていた。

大体、爆破前にはカチカチと小さく音がする。小型だと聞こえ難い。

触って熱かったらNG判定。

 

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回路を起こしてみると上記の様だった。

12AT7が、6AU6のサプレッサに入っているから、サプレッサ変調?をやっているのであろうか。

全く、どういう動作をするのか分からず。

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そんなで、どの様な動作をするセットなのか、直して調べる事にしたのである。

私も呆れる程の物好きである(笑)

修理して、動く様にしたが、用途が何なのか、動作をしても尚分からず。

ポーと矩形波の信号が出てくると、ある所で音が止まる。

そしてまた暫くすると、ジワジワと音が大きくなり始める。これの繰り返し。

音の高いセレクトでは、これは起きない。
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音の間隔を調べると、1周期が12秒。

一体これがなんの為の装置なのか。

無線の関係なのか、それとも何かの自動装置の信号なのか、見当が付かない。

 

 

 

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いや待てよ。と思って、元のオイルコンデンサに戻した。

これは漏電していて状態はかなり悪いが、指定の0.5μFだ。

交換したのは、手元にあった1.2μF。

容量が大き過ぎた可能性を考えて戻すと、鳴ったり止んだりの発振が止まった。

 

ps:後から分かった事は、漏電によって発振が止まった。

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12AT7を外しても音は出ているが、波形が大きくなって、サプレッサへ同じ信号が出る。
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球を入れると、レベルが下がって、スパイクだけになる。

どうやら歪み成分を12AT7の部分で相殺しようという回路なのか?

サプレッサ変調で、打ち消し効果が期待できるのかは不明であるが、特に低周波の場合に、Cの充電で、波形が鈍るから、これの補正用回路の可能性も考えられるかな。

ただ、どういう原理なのかはまだ分からない。

自己発振していそうであるが、何故か周波数を合わせに行っている。

不思議である。

 

 

 

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整理する

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各所の波形はこの通りで、6AU6のサプレッサには、12AT7を抜くと矩形波が表れ、波形が大きくなる事から、サプレッサにCgに入った信号が現れている可能性が高い。

そうなってくると、12AT7の部分で発振しているのかと思いきや、Cgがアースされている点を考えると、マイナス側を伝って、サプレッサからの信号に対して、逆さの信号を送っている可能性。

スパイクの残が残るのは、歪み成分であって、これを打ち消しているかの様に見受けられる。

この部分は、ゲインコントロールの役割も持っているかも知れない。

そうなってくると、この回路を音声部へ入れると、もしかすると5極管の歪み訂正をするのに役立つのかも知れない可能性を考えた。

発振の代わりに音声信号を入れたら、どの様になるのか、実験してみる。