客先さんでアンプの発振を調べる為に小型オシロが欲しいなと思っていたのであるが、なんなら買取りたいという事であったから、安いJunkを仕入れた。
調べるとラスタはチラチラしながら出て、使えそうな雰囲気。
然し乍ら、テスト信号を入れると1:1で矩形波の頭が突起するという具合で、1:10ではノコギリ波の様に酷くなってしまう。
とりあえず分解。
水平調整はブラウン管をダイレクトに回す方式。
旧式というか、コストが掛かっていないというか、この年代で凄いというか(笑)
基板は2枚で、結構調整ポイントが多い。
パターンを起こした後に、後付けでトリマにしたりしてある。
基準信号発生器自体の精度が悪い可能性も考えて、他のオシロでチェック。
問題なかった。
1:1
1:10
波形の調整は入力ATT段にあるトリマコンで調整が効くが、その容量はかなり小さいと思われし、寝た波形を持ち上げるだけの調整をする場所ではない。
ツノを調整する程度。
それで、基板を見てもらうと分かるが、接点復活剤をシューっとやってしまっていて、基板がびしょ濡れなのである。
良かれと吹いたが最後、不良にしたと考えられる。
洗浄剤で数回に渡って洗うも、基板に染み込んでしまった分はどうにもならない。
洗浄剤は急速型だから、冷たくなって湿気を寄せるから、カーボンの類、接点の類には注意が必要である。
エアーで飛ばしながら具合を見つつ、何度か洗う。
基板から油が抜けて、白くカサカサしてくると、ch1は大凡問題なくなったが、下側に位置するch2は、ch1から滴った復活剤で相当影響を受けているか、波形が垂れてしまって宜しくないが、まずまず持ち上がった方である。
とりあえず発振を確認する程の用途であるから問題の少ないch1を使う事にする。
廃棄理由は、接触不良改善に接点復活剤をスプレーしたが、観測精度が落ちた為であろう。
接点復活剤はスライド式接点用...とあるが、基板やら他の部品、ボリューム等の表記は無いから、塗ってはならない。
接点に塗るのは良しとしても、垂れるのは良くないから、拭き取る。
ボリュームのガリ取りならば、薄く塗って拭う。
これができないならば、やらない方が更に悪化させるという負のスパイラルに陥らなくて済む。
そういう私は、結構な量のVRやらをやはりダメにした経験がある。
VRは絞れなくなり、抵抗値が膨大化。洗ってカシメ直して戻る物もあったが、カーボンがグチャになって削れてしまった物もあって、半々。
ベークのロータリースイッチをビショビショにすると、隣との絶縁が悪くなる。
琺瑯のロータリーであれば、洗えば良いが、やはり染み入るベーク類は付け置きすると良くなるが、時間が経つと奥から滲み出てくる。
とにかくスプレータイプはタチが悪い。
ハケ塗りのタイプを今は使っているが、買ってから10年以上経っているかも知れないが8割方残っている。
使う機会は殆ど無いが、RCAの接点だったり、iPhoneの充電端子に塗って拭いている程度である。
とにかく、塗ったら軽く拭いた方が後々の問題に大きく響かない。
必要以上に塗るのは逆効果を招く。
とにかく矢鱈と塗らないで頂きたい。
オシロの入力端子付近の基板をビショにしただけで、波形が崩れるのであるから、例えばロジック回路にもしも垂れてしまえば、もうオシャカを思った方が良い。
特にインピーダンスが高い回路の場合は特に影響してくるから、真空管アンプの基板タイプのソケットを目掛けてシュッーとやったならば、波形も鈍るから、音が鈍って別の音で出て来る羽目になる。
波形が鈍ると歪みが多いのと同じになるから、柔らかい音に聞こえるかも知れない。
然し乍ら、球は温まるから、温度変化でその特性は絶えず変化し、安定することは無い。
良い音と思った1時間後も同じとは限らないという意味である。
私の中で一番強敵だったのは、RS-1500Uである。
幾ら部品を交換しても、出てこないハズの信号が三差動回路の至る所で現れ、動作が真っ当でなく使えない。
原因は制御基板全体へスプレーしたオタンチンの所為であるが、これが分かるまでに結構な時間を要して無駄な部品代を要してしまう。高い勉強代となった痛い思い出であり経験である。
基板から部品を全て取り外し、基板の端と端をテスターで当たっても抵抗値が現る。
それは何処へ当たっても数k、数M出るのである。
基板が絶縁物ではなく、1つの抵抗器と化していたのである。
幾ら部品を交換しても動かない訳である。
とまぁ、そういう事があって、“接点復活剤を掛けて修理しました”という品物はその場一瞬は良いが、基板へ浸透が始まるともう竹の根の様に広がって行くから、買わないというのが良い選択である。