A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

RCA P.U

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P.Uの続き。

ダンパの定着を待って穴を開け組み立てた。

電子顕微鏡も届いたから、チップの様子共々全てチェック。
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上がアーム付きの恐らく後期のP.U。

下がP.U単品で支給されたもの。

下と比べて上は痩せているが、チップ自体の丸みは変わらない様に見受けられる。

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Shureの3milと比較

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色々考え、他と比較と減った場合の状態を考えて。

針先は45-45の溝に全体が触るわけではないから、これが磨耗するとどうなるのかを考える。f:id:A2laboratory:20230713182532j:image

鉄針の場合、磨耗は早くに起きるから、これを観察しながら、ダイヤモンドの場合にも同じ事が起きる筈であるから、その場合にどの様に変形するかを推測する。

言いたい事はチップの先端の45-45の面が減るとすれば、平面になる訳で、これが過度になれば、接触面は大きく増え、最終的にはこれが鋭利になって底へ到達する。

相当なノイズが増える事と考えられる。

上からチップを見て、面が出ていれば、それは間違えなく減っている事になるが、そこで思いついたのは、90°チップを回転させると新しい面が出るという事である。

丸針のみに限った事であるが、これは有効であろうと、キー鳴きするチップは90°回転させて見た訳である。

但し、顕微鏡で観察する上では、減っている面は見られず、均一に丸く見える。

 

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チップ角度は、同じくリボンのカンチレバーを採用して、紐で引き込んでいるdeccaを観察。
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僅かではあるが、ディスクに対して垂直ではなく、寝ている事が分かる。

リボンの場合はやはり微妙に角度が必要な様であるが、このP.Uで言う、紐の部分は触っていないのであるから、オリジナルであれば、元からキー鳴きし易いP.Uであった可能性が高いが、ウェイトを触ってあったり、状態は良いとは言い難いのかも知れない。

何処まで手を出しているか分からないが、角度を付けて、尚且つ新しい面を出したから、状態の良い面が出ていると信じたい。

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2本とも同じダンパへ交換したが、古い状態の良い方が僅か音が大きく感じる。

 

以前にキー鳴きさせたディスクを再生してみる。

一度でも鳴かせると癖が付くから、同じ溝で鳴くかと想像していたが、僅かシューというトレース音に紛れて、ピーとやっている様に思ったが、逆に鳴かせる事は出来なかった。

 

音圧に関しては、マグネットの弱りを考えたが、U字マグネットの再着磁は可能な着磁機が頼んでいる所にあるのか疑問であるし、マグネットではない可能性もあると、コストを掛けて容易に頼み難いから、これは一旦保留にした次第である。

 

これにてできる事はやったから、再度使用してもらう事にする。