光星舎の親時計続き。
一番振り子を下へやっても30分以上進んでしまう。
鑢で板を短くして、1mm詰めてみた。
そうすると大凡20分程速くなる程度になって来たから、1mm詰めると約10分前後の歩度が変わる様である。
振り子を速い方へは7mm弱は上げられるから、振りベラ支えを更に2mm持ち上げたから、1日-20分前後遅れる事になる(推測)から、具合良くなるであろうという予想で様子見。
親時計は運針方向へ送るのは簡単であるが、逆転は出来ない。やってはならない。
小時計の信号を送る機構、5分間隔のベルタイマーが連動しているから、逆転させると壊れる。
古いレの字レリーズの時報附時計も逆転させると時報が00時に合わなくなるか、壊れるからやってはならない。
その後の改良型は逆転に対応している。
多分アンソニア様式が欧米の方では早くに対応させたと思う。
1900年代の欧州時計は既に逆転に対応している。
我國では、戦後は殆ど全て逆転に対応しているが、大正期の輸入品以外は逆転が出来るか怪しい。
そんなで、進むよりか遅れてくれた方が有難い。
§
また1日置いて様子見。
予想通りには行かないもので、また面白い。
まだ5分程早くなるのである。
何故周期の変化が大きく変わらなくなったのか考えてみると、私が思うに焼入りリボン、即ち薄板の焼入り鋼を、10mmの間隔を空けて両端を摘み、曲げた時の硬さと、30mm空けて曲げた時の撓みの硬さは異なって感じる。
短ければ短い程に硬く、曲げ難いが、距離が長ければ長い程に曲げ易い。
従って、短く曲げ難い程、支点の位置はより短い位置に、長ければ長い程、支点の位置は、支えている位置よりも遠くなるのではないかと考える。
振りベラを直接挟み込むスタイルの歩度調整であった場合、振りベラが長くなるSlow側へはより鈍感に、振りベラが実質短くなるFast側へは、急激な加速をするのではないかと考える。
振りベラ自体がより薄く、バネ性が低い物であった場合には、支点部分が直接的な支持部になるであろうから、リニアになる。例えば紐などの場合には。
結局、もう3mm長くして様子を見ると、ようやく遅れる傾向になって、振り子を上げられる様になった。
1日置いて様子見していたが、よく考えたら、同じ長さ、同じ3600往復のものがあるから、これを基準に揃えたら良いのである。
振り子が先行きすれば、進みへ倒れているし、その逆は遅れである。
すぐ様その差が出る様では日差が大きく出るのは間違えない。
10秒、1分、5分、10分…と合わせて、その開きが少なくして行けば良い。
光星舎の古い方は、パーマネントマグネットの微調整歩度調整器が無いから、完全に振り子に依存した形式であるが、これでも結構な精度が期待出来そう。
振り子の1目盛内の分解能は無いが、1目盛内を例えば5で割って調整すれば、それは微調整が無くても同じ事であろう。