A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

屋井乾電池 分解してみる

屋井先蔵氏の乾式電池を復活させられるのか実験途中だったから、年末大掃除だと言うのに、やりたくなってしまって(^ω^;;)

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WesternElectricのトランス同様にコンパウンドが詰まっているが、年月を経てパリパリ。

叩くと最も簡単に砕けた。

掴みに先ずはどんな構造なのか分解する。


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外は厚紙で、内側にトタンらしき箱があり、これが陰極部である。

陽極は中央の木の棒に真鍮板が付いた部分。
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丸棒をハンダで止めてある。

鎖防止か、か金板にも黒で塗装してあるが、一部剥れて、鼠色の素地が見える。トタン?鉄板かな?
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上止めの厚紙を外すと封のコンパウンドの熱避けにか、6mmの厚紙の座が出てきた。f:id:A2laboratory:20221217002639j:image

中央部だけが薄くコンパウンドが流してあり、その横は紙の様な物が見える。
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酵母菌か分からないが、薄くモクモクとカビっぽい物も出ていて、この部分は湿気ていた可能性が高い。

和紙が巻いてある様だ。
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コンパウンドを静かに剥ると何かを紐で縛ってコンパウンドで固めて、その上から和紙で巻いてあった様だ。

和紙の下から、ツルツルとしたまた紙が出てきた。

この内側が電池として重要の部分であろう。

 

屋井乾電池を分解したという記事が出て来ないから、初めて見る事になるが、二酸化マンガンやらを混ぜた(?)物が入っているそうである。

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紙を突き破ってみると、中身は固形、練り物(コンパウンド)かと思ったが、ブスッと刺さって、案外サラサラとしている様である。

砂状ではないから逆さにしても溢れ出なかった。

明らかにコンパウンドとは違う光沢で、マットの黒。

炭の様な印象である。

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現状の発電電圧は1Vで、内部抵抗は肥大化している。デジマルだから1Vを示している事と考えられる。

 

さてと。実験の触りである。

ここへ水、或いは食塩水を加えると、元へ戻るかである。

水だけならば、時間が経てば乾くから、初っ端は水で試して、後に食塩水をやってみよう。

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東京の水道水を加えてみる。

…考えが甘かった。

どうやらただの紙でも和紙でもなく、蝋引きらしい。

良く良く考えたならば、それもそうか。水分を失わない様にするのだから、防水性がある状態にしていても不思議ではない。

要は、漏れない=染み入らない。

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ならば、少しアルコールを含ませたら如何なものか。

アルコールを含むと恐らく浸透率が良くなるだろうと考え、アルコールを混ぜて試すと即座に2mlが染み込んだ。

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すぐさま電圧を確認すると300mV程確かに電圧が上昇していた。

続けて2mlを追加したが10mV上昇しただけであった。

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試しに電流がどの位流れるのか見てみると、20mA弱。(1.53Ωの内部抵抗含むシャント)

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もう一度電圧を確かめるとまた30mV上昇していた。

 

§ 

 

1日経過し、馴染みが良くなってもっと復活しているかも知れないと期待していたが、実際には…

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1Vへ下がっている。これでは元に戻ったも同然。いや悪化している。
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電流がどの位流れるか調べると5mA弱。

全く分解も何もしていない物は、どれも1mAも指針が動かないから、それよりかはまだ動くだけマシではあるが、水を含ませた途端だけ復活(?)傾向が見られるが、持続性は期待できなかった。
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中央電極を木の棒と書いたが、木炭らしい。

1930年辺りの電池だとしても、1V出ているだけでも凄い様に思う。

真っ二つに輪切りにしてみたい気もするが、黒い粉が出てそれだけの様な気もするから、一旦保留しておく。

塩水も錆びが酷くなるであろうから、一旦保留。