A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

マツダ特約店かな。精工舎の掛け時計/石田時計工場 八雲

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棒リンが見えない、振り玉が真鍮素地。これらの事から、昭和25年辺りと推測。買っておいた。

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マツダ特約店に有ったのか、カットガラスにマツダのロゴ入り。

寄贈の文字は見当たらないから、店の自腹かな。

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棒リンじゃないという事は、渦ボンなのだけど、これまた多く巻いてあって、だいぶ低い余韻のある癇に障らない音である。

国産のは金属ハンマーでデカイ音を出す様になっていたりするが、あれは耳が痛くなる。良い音じゃない。ただ時報をガンガン知らせるという事に特化した印象である。

後々ハンマーに木片か革を詰めた物になり、マレットと同じになって音が柔らかくなった。

これにより、ボンの持っている低域が豊かに鳴る様になった。

ドイツのは古い物でもマレットで、音は少し中高域寄りで甲高い。太い線を使ってあまり巻いていない。

国産のは細いのを長く巻いている。

e字に巻いた物はクセがなく、低音が良く効くが、p字に巻いた物は叩いた瞬間からワンワンと妙な音がして、複音になる様な印象であり、割と甲高い音がする。低い音が出難い。

今回の機体はマレットだから心地良い音がする。

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ダイアルにも記入はなく、機械も触っていない様な印象。

ただ結構長く動かしていたか、ホゾからは真っ黒の屑が出ているから掃除してやらないと摩耗が派手になってしまいオシャカにする。

機械は本剣車にバイアスを掛けた欧州式で、ユンハンスのコピーを初期型とすれば、これは2代目であろう。

30日巻が出た頃の機械は丸い板になっていて、これが最終の3代目であろう。

トルクが強い為に2番車のホゾが近代の物であるが、摩耗が激しく楕円になる。精度は機械の状態が良ければ出る。摩耗してもタガネで戻せば良いが、オリジナルが早くに減るから、詰めてもすぐに広がる事と思う。

水晶時計もその頃は平行して作っていたし、機械式よりか水晶の方へ気合を入れていた事であろう。当時の事は定かには分からないが。

 

マツダと言えば、電氣時計を戦前、昭和15年程迄は売っていたと思うが、戦後はどうしていたのだろうか。

ナショナルがプラスチックの筐体のを売っていたのは知っているが、他を知らない。

良く分からないが、戦前は精工舎も電氣時計を作っていたし、電器屋だったかラジオ屋だったかは分からないが、電氣時計の方がカッコついた様な気もするが。戦後という事もあるし時代かな。

 

 

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八雲の調整をした。

僅かであるが、アンクルの保持座を上へ動かしたかったが、カシメが本締りした様で動かない。

観察すると、ガンギのホゾ受け板をヤットコかで摘んだ跡があって、ここで調整したらしい。下方へ少し倒して噛み合い角を見ながら、良い場所にする。

以前はパタパタと間隔が開いて刃先しか掛かっていなかったが、腹で掛かる様になったから安定的に持続出来る。

代わりに振り幅はいつもよりか幾分大振りになる。角度が付くためであるが、これがアンクルとガンギの角度は正常であるから問題ない。