A2 Laboratory. Work shop

Abraham Audio Device Industrial Labo.

光星舎の親時計 OH / 他

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あれからまた放置に放置を重ねて、30分進んでいたが、マグネット動作は良好。

電気的には元へ戻ったと言える。

機械はホコリのまま、給油をして誤魔化しで動かしていたから、綺麗に分解掃除してやると本領発揮するであろう。

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バネが2本、右へ左へ掛かっていて、バラす前に外してやらないと下板にくっ付いているから、其の儘引っ張るとバネを伸ばして御釈迦にする可能性が大いにある。

慎重に観察しながらバラして組み戻しの時を、逆算して頭で描いておく。
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ゼンマイはないから、大きな力が連続的に加わる場所はない。

よって力の方向へホゾが摩耗を起こすという事もない訳である。

ただし、土埃がホゾと受けに詰まる事で、小さいトルク故に、これが負荷になる。

1つならまだしも、5つの歯車を1秒間に1度だけ僅かに動かす。

5つの負荷ともなれば、チリも積もれば…である。

洗い油は使い回しをしているから既に濁っている。

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漬け置きしてブラシで洗う。以前は超音波洗浄器で洗っていたが、あれはなんだかネジやら石やら、カシメやら、色々外れてしまって具合が悪い。高価な投資だったが、失敗だった。

昔ながらにブラシで手洗いする方が余程綺麗になるし、不良部分の発見にもなる。

時間は掛かるが、手洗いが良い。

 

と、洗い油に浸していたら会社から着電があって、アンプの音を聞きたいというお客さんが見えているとか。

然し乍ら、音が出ないという事だったから、すぐに会社へ出向いた。

簡潔に言うと、スピーカーケーブルの元はスピーカーの導通があるが、ケーブルの末端は導通がなくなるという不可解な症状だった。

勿論、コネクタには挿さっている。

ワケワカメで、お客が他の線を繋いだら良いのではないかと言い、私は原因を特定して何がどう悪さしているのか、根本を解決したかったが、幾度も言うから苛立ち半分で別のアンプに挿さってたのを抜いてきて挿した。(セレクターが悪さしていたら、良い音は当然しないが、面倒になって言わなかった)

そんなで音は出たが、お客さんは1W程度では通常聞いていない様で、大分爆音が出ないと満足が行かないらしい。

会社で他階から苦情が来るかと思う程の大音量で鳴らしてみて、これくらいでいつも聞いている。という。話も接近しないと出来ないレベルである。

そんなで“歪むなぁ”と一言。

確かに低域が歪むが、世間一般のマンション鳴らす事を前提にしたから、そんなデカい音を出す用途ではない。

3W程でも満足行かなそうな雰囲気がある鳴らし方をしそうだから、3Wで満足行かなきゃ100Wは必要ですよ。と助言。

大凡3Wだの5Wだの、大して変わりゃしない。

小さいシャーシで、且つステレオで大きい音が出るのがあるとの事だったが、6V6か。それとも終段を石にしたハイブリッドだろうか。分からないが。なまじ色々知ってはいそうに思えたが。

小さいシャーシでデカい音が出る、何ていうのは、まるでカブに12気筒モートルを乗せたいというのと同じであろう。

1つのシャーシでは無理であるが、2つ3つにすれば、不可能ではない。

考えます…とお客はお帰りになった後、ショーケースに並んだアンプがあって、“これは?”と聞いたらお客が下ろして来て並べたものだ。というから、片付けして店仕舞いして、私も帰宅した。無駄足だったかなと思うと疲れが3割り増し。

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気分を変えるべく、漬け置きを洗って乾燥、チェックして組み、調整、子時計の30秒信号に合わせて秒針をセットし、本体へ組んだ。必要な箇所だけ給油を僅か濡らしておいた。

振り子はまた少しヤスリで削って振り子長を伸ばした。

定めし、結構良い線に来ていると思われる。

精度が良いから、1秒のズレも結構大きく響く。

チッチッチ、パチコンと良く動いている。

これにてOH完。様子見する。


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ST佐藤時計も試運転と機械調整を完了とさせ、ダイヤルを組んだ。

精度が如何程か、という所であるが、状態もまずまずであるから、週差1分程にしたい所である。

ストームグラスは“晴天”の箇所へ、結晶が出来ていたが、現在雨が降っているが…アテにはならないかも知れない。

まぁまぁ、1世紀程経つ物と考えたら、ガラスの中に液体が残っているだけでも貴重かも知れないから、現実的でなくとも、歴史的な物として考えたら良いであろう。